安倍晋三氏を自民の“最高顧問”に。岸田首相が元首相の「呪縛」を解く方法

 

ちょっと考えていただきたいのは、この間安倍さんが核シェアリングの議論をした方が良いのではないかとか、日銀は政府の子会社だとか、様々言いたい放題言ってますよね。防衛費は6兆円の後半だなんて言ったりもしている。そういうことをものすごく気軽に、かつ元気よく言えているのは、責任が伴っていないからではないのか。実際にはそれによって影響力を与えながら責任は伴わない形で言っているので。これを最高顧問である安倍さんが「防衛費は6兆円の後半だね」と言ったとすると、これは今回以上に大きなニュースになると思うんですね。で、安倍さんも言いにくくなるのではないかと思うんです。そのあたりは是非ご検討いただきたいと思うのですが。まあ、半分から7割くらい冗談ですが。もっと冗談だろ、という味方もあるかわかりませんが。

それから今、防衛費の話が出ましたけれど、例の2%とは何なのかについてはちゃんと認識しておいた方が良くて、昨日の竹内さんの説明で、これ、NATOの諸国は2%を要求されていると。NATOに入る以上、防衛費は2%以上でないと困ると。なぜならNATOは軍事同盟であり、どの国が攻撃された場合でも、すべての加盟国が連帯して対処するという、かなりがんじがらめの軍事同盟ですね。だからこそかつてはソビエト、今はロシアの脅威に対抗できるということなのだと思います。そういうところで言われている2%、といってもすべての国が2%以上になっているわけではないのですが、ドイツなんか1.5%くらいで。

今、ショルツさんという、存在感の若干薄いドイツの首相がおられますけれど、議会に対して2%に増額する提案をしている段階にある。で、軍事費を見ると、アメリカは世界で一番大きなGDPがあり、なおかつ、それに対する比率で3.6%も軍事に使っているとんでもない軍事国家だということですよね。韓国もでかくて2.8、イギリスが2.3、フランスが2.0、ドイツが1.5という、こんな感じなんですね。ドイツはロシアとの関係もNATOのなかでは一番大きくて、ドイツとロシアで合同演習などもやっていた間柄。それが、今度のウクライナの事態を受けて変わろうとしていることがニュースになっている。

それでは、日本はNATO並みになるために2%にしようということではなくて、これは違うんですよ。2%の根拠はそこではなく、トランプ政権の時代から言われていること。つまりアメリカの要求なんですよ、元々。元々アメリカの要求。2年前の9月。国防長官はエスパーさんという人でしたが、この方が日本を含む同盟国に対して国防費をGDP費で少なくとも2%に増やしてくれと、公式に表明している。その後も何度も言われていると思います。理由は中国やロシアに対抗するためで、相互の安全と共通の価値を守るためだということを訴えている。

これ、トランプ時代の内に籠もるというか、色々なものから、TPPから、パリ協定からも抜ける、イラン核合意もやめてしまうという挙にでたじゃないですか。その一環として、日本は「てめえの防衛はてめえでやれよ」ということですね。日米安保条約を結んでいながらよく言うよなという感じがしますが。その時代の話。そのことなんですね。ウクライナ侵攻という危機に際して、都合良く持ち出しているという感じ。だから2%に5年後にはするという話ですが、結局アメリカの兵器をまた買わされることになるという気がしないでもないですね。

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