で、これ、とにかくすごい話。2%はそういう軍事的な緊張に対して何を備えていくかという具体的な思考から生まれたことではなくて、日米関係というやや抽象的な関係の中で防衛費を増やせという圧力とともに出てきたことが「2%」なんですね。これが日本にとっては5兆4,000億円が10兆8,000億円になるという話ですから。仮にそうなったら世界第3位の軍事大国になってしまいます。大変乱暴な議論だと思うんですね。アメリカに対して2%にしますということを自民党と政権は内々に納得している、あるいは約束でもしちゃっているのではないかという心配がありますね。トランプさんの時に決まった御商売でいうと、例のF35を100機でしたっけ。おんなじ飛行機を1兆円分も買うんですよ。馬鹿っぽくないですか。プラモデルではないんですよ。それに加えてイージスアショアでしたっけ。4,000億円が2カ所。ロフテッド軌道という、北朝鮮が既に獲得した技術、野球で言えば「変化球」ですよね。これには対応できない古いシステムに8,000億円も払おうとしていたのを、結局、なんとかやめられた。良かったねと息をつきそうになったのですが、今度はそれを乗せたイージス艦を作ろうという話になって。もしかしたらさらにお金が掛かるのではないかと思っています。とんでもない金額を使わされているわけですね。
さらに軍事予算の話で言えば、有償援助の形で日本が値段を決められない問題、それから後年度負担と言う形で、丸井のクレジットじゃないですが、5年のローンになっていたりする。5年先の予算まで縛られているということですよ。さらに言えばそうやって増やす5兆4,000億円は何でまかなうのかといえば、赤字国債でまかなっておきましょうという話。これ、安倍さんが言っているのですが、安倍さんだけでなくて、なんと今、立憲民主党?いや国民民主党か…。めでたく国民民主党に移られた前原元外務大臣、前原さんも言っていますよ、赤字国債だと。なんか軽い感じで言っていて、堪らないよね。それってさ、破綻の道でしょう。ちょっと恐ろしいことになっているなと。これ、防衛費という一つの費目の問題ではないですよね。全然違う、質の違う問題だと。それをガンガンやろうとしている勢力が圧倒的な多数を国会内で持っている状況で、しかもそのような危険なものを抱え込みながら、自民党政権全体の印象は、久しぶりのリベラルになんとなくホンワカしてしまっている。久しぶりのリベラルな雰囲気を漂わせながら、その中ではものすごく危険なことが進行しているという。
ああ、アブねえ、という状況ではないですかね。
しかも、うまく出来ているというと変ですが、ウクライナ危機への対応の仕方、基本的には距離が遠いところでありますし、ギリギリのところでこの問題を突きつけられているのとは違う、NATO諸国とは違いますよね、日本は。何を言っても言い方向に解釈される状況で、岸田内閣はウクライナの可哀想な人たちも助けているし、という状況で支持率が上がっていくと、これは大変なことになるかもしれないですよ。大変だと言っていられないくらい大変なことかもしれなせん。
(『uttiiジャーナル』2022年6月19日号より一部抜粋。全てお読みになりたい方はご登録ください)
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