国家が音頭をとれば、それに連動して足元で華々しい成果が次々とメディアで報じられているのは中国のパターンだ。
すでに良く知られた農業と新エネルギー融合では、砂漠化防止と脱炭素の両方を一気に満たせる事業として進められた太陽光発電がある。新疆ウイグル自治区や内モンゴル自治区の砂漠に太陽光パネルを敷き詰め、日光を遮ることで緑化を進めるものだが、多くの現場で成功している。いまはそこに生えた草を食べる家畜を放し飼いで育てている。
大きな成果の報告は、ここ数カ月の間にも相次いだ。
直近の話題は「巨大稲」と「海水稲」だ。
前者は、従来の稲よりも茎が太く、台風が来ても倒れにくいという特徴を持った稲の開発だ。低コストの上に生産量が高く、耐倒伏に優れ、超耐塩・アルカリ性といった利点が報告されている。しかも稲幹は、将来的に飼料として利用できると『人民日報』は伝えている。
巨大稲は茎が太いため従来の農作業用機械には適応しないという悩みを抱えていたようだが、これも改良を重ね量産体制を確立したという。今年からは実験的に天津での栽培が始まったという。巨大稲の水田は従来よりも水深があるため、稲と同時にエビや魚も養殖できるほか、カエルやアヒルを育てられることもできるという。
後者の「海水稲」は、文字通り塩・アルカリ土壌に耐性をもつ稲のことだ。通常、こうした土地では土壌改良で対応するものだが、稲の方に耐性が備わっていれば、耕作に適した土地は飛躍的に広がることになるのだ。
(『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』2022年6月26日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)
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