未来の戦争も視野に。あの中国が「ソフト鎖国」を目指し始めたワケ

 

国家が音頭をとれば、それに連動して足元で華々しい成果が次々とメディアで報じられているのは中国のパターンだ。

すでに良く知られた農業と新エネルギー融合では、砂漠化防止と脱炭素の両方を一気に満たせる事業として進められた太陽光発電がある。新疆ウイグル自治区や内モンゴル自治区の砂漠に太陽光パネルを敷き詰め、日光を遮ることで緑化を進めるものだが、多くの現場で成功している。いまはそこに生えた草を食べる家畜を放し飼いで育てている。

大きな成果の報告は、ここ数カ月の間にも相次いだ。

直近の話題は「巨大稲」と「海水稲」だ。

前者は、従来の稲よりも茎が太く、台風が来ても倒れにくいという特徴を持った稲の開発だ。低コストの上に生産量が高く、耐倒伏に優れ、超耐塩・アルカリ性といった利点が報告されている。しかも稲幹は、将来的に飼料として利用できると『人民日報』は伝えている。

巨大稲は茎が太いため従来の農作業用機械には適応しないという悩みを抱えていたようだが、これも改良を重ね量産体制を確立したという。今年からは実験的に天津での栽培が始まったという。巨大稲の水田は従来よりも水深があるため、稲と同時にエビや魚も養殖できるほか、カエルやアヒルを育てられることもできるという。

後者の「海水稲」は、文字通り塩・アルカリ土壌に耐性をもつ稲のことだ。通常、こうした土地では土壌改良で対応するものだが、稲の方に耐性が備わっていれば、耕作に適した土地は飛躍的に広がることになるのだ。

(『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』2022年6月26日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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1964年、愛知県生まれ。拓殖大学海外事情研究所教授。ジャーナリスト。北京大学中文系中退。『週刊ポスト』、『週刊文春』記者を経て独立。1994年、第一回21世紀国際ノンフィクション大賞(現在の小学館ノンフィクション大賞)優秀作を「龍の『伝人』たち」で受賞。著書には「中国の地下経済」「中国人民解放軍の内幕」(ともに文春新書)、「中国マネーの正体」(PHPビジネス新書)、「習近平と中国の終焉」(角川SSC新書)、「間違いだらけの対中国戦略」(新人物往来社)、「中国という大難」(新潮文庫)、「中国の論点」(角川Oneテーマ21)、「トランプVS習近平」(角川書店)、「中国がいつまでたっても崩壊しない7つの理由」や「反中亡国論」(ビジネス社)がある。

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