これ、別に、ロシアを許すとか、ロシアとともに歩むという話ではなくて、その二極構造の中に単純に参加していて良いのかということはあるんじゃないでしょうかね。他の国はもっと自分たちの正しさに向かって自国の利益を正確に反映するよう、努力していますよね。日本の場合にとても対米従属の傾向が強くって、「大丈夫かいな?」という気がします。
で、その上で、例の核兵器禁止条約の締約国会議に、ドイツでさえオブザーバー参加しているのに、日本はオブザーバー参加さえしなかったというのは、ちょっと単純すぎるのではないですかね。そこまでアメリカに縛られているのだなと、そんなふうに世界中の国々からも見られていないでしょうか。確かに安保条約はあるし、米軍は核戦力を中心にした軍事組織ですし、それは十分分かった上で、その同盟関係を維持しつつ、核兵器禁止の動きに棹さしていくというのは、自民党や公明党には無理かもしれないですが、日本の政治家の中にだって、そのような自民党から見たら「曲芸」かもしれないけど、少なくともオブザーバー参加には問題がなかっただろうと思っているのですが、どうなんでしょうね。
そんなことをつらつら考える1週間でございました。力と力のぶつかり合い、強いものがルールを作っていく、強いものが正義になっていく、そのような世界だということを認めつつ、そのなかに一つの国としての理想をどうやって形にしていくか。譲ってならないのは何なのか、というところで踏ん張らなければいけないだろうと思っています。うんと具体的な話で言えば、例の防衛費2倍の話のように超アバウトな話がそのまま通っていく。これもある種、力の世界の話なので、日本の政治の世界もそのような意味では同じなのですが。
(『uttiiジャーナル』2022年6月26日号より一部抜粋。全てお読みになりたい方はご登録ください)
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