在来線切り捨ては確実。新幹線をゴリ押しする「JR」の傍若無人な企業体質

 

問題の本質 JRは、本当に公共事業者か?

問題の本質は、JRという企業体質に依拠する。民営化され、国の監督というたかが外れたJRが、さまざまな意味で“アンタッチャブル”の存在になりすぎた。いつしか行政をも越える存在となる。

さらに、そもそも日本の地方のメディアは脆弱。そのため、監視する存在もいない。だからこそ、公共事業であるための“公共”という存在を越えたJRはいつしか自社の私利私欲のために好き勝手できる存在まで成り上がった。

JRの傍若無人さは、リニア新幹線のことの顛末をみればわかる。JR東海は現在、2027年の完成を目指し、東京-名古屋間を40分で結ぶリニア新幹線の建設を進めている。

当初の建設費用は5兆4,300億円。最終的には、2045年に東京-大阪間を67分で結び、トータルの建設費用は9兆300億円にも達する(*4)。

公共事業や大規模事業に詳しい橋山禮治郎氏は、リニア新幹線の事業計画にはさまざまな疑念が付くという。

まず経済的な問題。そもそもリニア新幹線は既存の東海道新幹線と競合するうえ、JR東海に大きな損失をもたらすとする。

環境に対する懸念も。リニア新幹線は高速度も出すため、直線で結ぶことになるが、東京-名古屋間の87%が地下を通り、さらに途中、南アルプスを貫く。

すでに実験線が完成している山梨県では、実験線の周辺では山肌を貫くトンネル工事により地下水脈が分断され、予期しない場所で大量の水が出たり、河川や沢の水涸れが報告されている。

現実に今後、南アルプスの山間部を貫く工事で、思わぬ水の問題に直面する可能性も。だからこそ、静岡県はあれほど反対しているのだ。

他方、リニア新幹線に反対する静岡県をはじめ、西九州新幹線に反発する佐賀県に対しては、ネットメディアを含め批判的な声は大きい。もはやJRの影響力が、インターネット空間まで及んでいる。

一方、JRの立場に立った場合、50年、100年後の鉄道の未来を考えると、メインとしてはリニアや新幹線を柱にし、在来線はもう見捨てるだろう。事実、近年は在来線の苦境が、これでもかと伝えられている。

そして、在来線の部分は、LRTという次世代型路面電車に移行させる可能性が高い。

■引用・参考文献

(*1)「西九州新幹線、武雄温泉─長崎が9月開業 沿線開発進む」大城夏希 日本経済新聞 2022年5月1日

(*2)「九州新幹線西九州ルート、佐賀県が示した3ルートの意味」杉山淳一 マイナビニュース 2021年6月13日

(*3)「こじれる長崎新幹線、実は佐賀県の“言い分”が正しい」杉山淳一 ITmedia ビジネス ONLiNE 2019年5月17日

(*4)「天下の愚策リニア新幹線に待った!」ビデオニュース・ドットコム 2014年8月9日

(『モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)』2022年7月3日号より一部抜粋)

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