在来線切り捨ては確実。新幹線をゴリ押しする「JR」の傍若無人な企業体質

 

残る未開通区間のゆくえは? ルート案も3つ存在

一方、未開業の新鳥栖-武雄温泉との間の整備方式をめぐっては、まったくもって不透明だ。

昨年、佐賀県がフル規格を前提とした3つのルート国土交通省に提示した。従来からあった佐賀駅ルート、そして新たに北回りルート、そして南回りルートを提案してきた。

ただ、このうち、国交省は佐賀駅を通るルートが「ベストな選択肢」(西日本新聞、2021年11月23日)と訴えた。

3つのルートとは、

  1. 佐賀駅を経由
  2. 佐賀市中心部を避け、長崎自動車道方向に迂回する「北回りルート」
  3. 佐賀空港を経由し、九州新幹線筑後船小屋駅(福岡県)を結ぶ「南周りルート」

だ。

想定される建設費は、佐賀駅を経由するルートが約6,200億円。

一方、北周りルートは用地買収費が安くなり、約5,700億~6,200億円。他方、佐賀空港を経由する南回りルートは、トンネル工事費などがかさむとし、約1兆1,300億円と試算されている。

新規に提示された2つのルートをそれぞれ比較していく。

まず南回りルートで佐賀空港と直結した場合、福岡空港の“サブ空港”としての意味合いを持たせる(*2)。もともと福岡空港の発着便数は飽和状態であった。

事実、2024年度に第2滑走路を建設する計画もある。ただ、滑走路間が短いため、同時発着ができない。第2滑走路ができたとしても、現在の16.7万回から18.8万回の処理能力にとどまる。

そうでなくても、佐賀空港は福岡空港の代替空港としてチャーター便を受け入れてきた実績を持つ。ただ、佐賀空港は赤字状態が続く。

そのため、新幹線で博多駅と結ばれれば、北九州空港よりも所要時間が短くなり、佐賀空港の発着便が増え、運営状況が改善されるかもしれない。

北回りルートは、高速道路と接続するという。新幹線駅ができれば、人の動きが活発となり、新しい工場の誘致の可能性も高まる。さらに高速バスの拠点として整備することもでき、佐賀県のとくに北部にとってはメリットがあるという。

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