安倍氏「暗殺」の衝撃。市民が4億丁の銃を持つ米国はどう受け止めたのか?

 

解説

最後の「なぜ米国では銃の保有が規制できないのか」というコメントは多くの日本人が同意するものでしょう。

6月25日にバイデン大統領が銃規制の法案に署名しました。法律には銃の購入者が21歳未満の場合は犯罪履歴やメンタルヘルス面などの審査を厳格化することなどが含まれています。しかし、これは銃社会からの決別には程遠いものです。

なぜアメリカ人は銃を手放せないのでしょうか?

これには憲法に基づく思想的な問題と実際的な問題があります。

アメリカ合衆国憲法修正第2条には「規律ある民兵は、自由な国家の安全にとって必要であるから、人民が武器を保有しまた携帯する権利は、これを侵してはならない」とあります。

これが米国人の根底の思想に流れています。

そして現実的な問題があります。

もし仮に銃の保有を禁ずるような法律が可決されたとします。真面目な米国人は銃を政府に差し出すでしょう。

米国に実際に暮らしてみると分かりますが、同国は法律・規制と実際が合致していることが多いです。例えば道路の制限時速60マイル(約100キロ)のところでは、実際に60マイルで走る人が多いのです。

日本のように田舎のガラガラの道なのに制限時速40キロなんて、だれも守っていない規制がかかっていることはまずないのです。

つまり米国人は法律は文字通りに守らなねばならないという世界に生きています。

よって、銃の保有を禁止すれば、多くの真面目な米国人は「ひとつぐらいの銃は、念のために家に残しておこう」などと考えずに差し出します。

でも順法意識が低い犯罪予備軍、ギャングなどは当然差し出さないでしょうから、銃をもっているのは悪人ばかり、善人は自分を守る手段がないという事になります。

随分前ですが、ニューヨークのセントラルパークで28歳の女性投資銀行家がジョギング中に激しく殴打され性的暴行を受けた事件があり全米に衝撃を与えました。

なぜこのような事件が起きたのでしょうか?ジョギング中で彼女に武器がない事が明白だったからです。やはり武器をもつ(または武器を持っているかもしれないと予測されること)は、犯罪の抑制効果があるのです。

この記事にあるように全米には4億丁近くの銃があると言われています。保有を禁止しても差し出すのは、善人ばかりでしょう。実際にそれで治安を維持できるとは考えられません。

米国人と日本人の間には銃について相当な意識の格差があるのです。日本の基準で「米国人は何を考えているかわからない。バカじゃないか」という事は正しくありません。(この記事はメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』7月10日号の一部抜粋です。この続きをお読みになりたい方はご登録ください。初月無料です)

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・株式会社ピンポイント・マーケティング・ジャパン 代表取締役社長  ・情報経営イノーベーション専門職大学 客員教授 ・法政大学大学院イノーベーションマネジメント研究科 兼任講師 慶應義塾大学を卒業後、米国バンカーストラスト銀行にて日本企業の海外進出支援業務に従事。カーネギー・メロン大学でMBAを取得後、家業の建築資材会社の販売網を構築するべくアメリカに子会社を設立。2000年、ピンポイント・マーケティング・ジャパンを設立。海外のエージェントとディストリビューターを使った販路網構築・動機づけの専門家として活動を行っている。2015年「中小企業が『海外で製品を売りたい』と思ったら最初に読む本」を、2017年「海外出張/カタログ・ウェブサイト/展示会で 売れる英語」をダイヤモンド社から上梓。

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