ところで、統一教会問題の現状はどうなのだろうか。
統一教会の田中会長は「過去には献金に関しトラブルがあったが、2009年に当時の会長が声明文を発表し、コンプライアンスを徹底してきたので今はトラブルはない」と強調した。
これに対し「全国霊感商法対策弁護士連絡会」は今月12日、東京都内で会見を開いて“反論”した。統一教会の霊感商法などによる被害は今も続いており、弁護士や消費生活センターが受けた被害相談は昨年までの5年間に限っても約580件、約54億円にのぼるという。
まさか、警察が手を緩めているようなことはないと思うが、捜査や取り締まりの見直しが必要なのではないか。
ところで、この記事を書くにあたっては、いくぶん葛藤があった。本来、暗殺事件と、安倍氏が統一教会にどう関わっていたかは、別の問題だ。統一教会との関係を追及すればするほど、許されない犯行の理由づけをするようになっては、はなはだ不本意である。それでも、山上容疑者が犯行動機として、統一教会と安倍氏のつながりを挙げている以上、なぜそう思うのかを、事実に基づいて検証してみないわけにはいかないだろう。
いくつもの事実のなかで、筆者が注目したのは、全国霊感商法対策弁護士連絡会の再三にわたる警告だ。2021年9月の安倍氏に対する抗議文より前、2019年9月27日には「国会議員の先生方へ」と題する要望書を全ての国会議員あてに出している。
「旧統一教会やその正体を隠した各種イベントに参加したり、賛同メッセージを送らないで下さい」「各種の公職選挙法で定める選挙に旧統一教会信者らの支援を受けないで下さい」などという内容だった。
当然、安倍氏も受け取っていたはずである。この文面を重視すれば「UPF」にビデオメッセージを送るようなことはなかったかもしれない。
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