参院選で左派野党を粉砕。安倍政権から始まった「自民の左傾化」

2022.07.14
 

新しい時代の対立軸は「弱者救済の与党」vs.「新しい時代を創る改革派」となっていくだろう。弱者救済の与党とは、政策を左右に大きく拡大させた自民党を中心とする勢力だ。自民党は、「キャッチ・オール・パーティ」の持ち味を存分に発揮して、平等・格差の是正を軸に、弱者・高齢者・マイノリティー・女性の権利向上、社会民主主義的な雇用政策・社会保障・福祉の拡充、教育無償化、外国人労働者の拡大、斜陽産業の利益を守る公共事業などに取り組む。

現在、連立パートナーである公明党のみならず、立憲民主党、社民党、れいわ新選組、そして共産党までもが、その補完勢力となり、「弱者救済の与党」となっていく。

一方、野党となるのは、新しい社会を創りたい一派だ。デジタル化、IT化、スーパーグローバリゼーションを進めたいグループがある。SNSで個人として活動する人たち、起業家、スタートアップ企業、IT企業などである。

彼らは、市場での競争に勝ち抜いて富を得る。基本的に政治への関心は薄い。だから野党だ。しかし、政治の動きが社会の進化から遅れすぎると彼らの邪魔になるので批判することになる。

現在、新しい野党となる勢力は十分に育っていない。維新の会がその候補かもしれないが、残念ながら彼らの改革姿勢は「1990年代」のような古さだ。しかし、新しい時代に合った対立軸の萌芽は生まれてきていると思う。これが、安倍元首相が我々に残した最後のレガシーである、これからは我々自身が、新しい時代を自ら切り開く気概を持って行動することが、重要ではないだろうか。

image by: 岸田文雄 - Home | Facebook

上久保誠人

プロフィール:上久保誠人(かみくぼ・まさと)立命館大学政策科学部教授。1968年愛媛県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、伊藤忠商事勤務を経て、英国ウォーリック大学大学院政治・国際学研究科博士課程修了。Ph.D(政治学・国際学、ウォーリック大学)。主な業績は、『逆説の地政学』(晃洋書房)。

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