プーチンの狂気を呼び覚ます、ウクライナ「クリミア攻撃」の最悪シナリオ

shutterstock_2097383494
 

ウクライナの独立記念日でもある8月24日に、奇しくも開戦から半年を迎えることとなるウクライナ紛争。現在、欧州最大級のザポリージャ原発を巡る攻防戦が続いており、国際社会はロシアへの非難をより一層強めていますが、その責任を問われるのはロシアのみなのでしょうか。今回のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』では元国連紛争調停官の島田さんが、ウクライナが当紛争において、露軍に劣らないレベルの市民への残虐行為を行っているという事実を紹介するとともに、ロシアばかりが批判される現状を疑問視。さらに今ウクライナで起きていることは、台湾有事の際に日本でもそのまま起きる可能性があるとして、早急な原発攻撃対策の検討・実施を訴えています。

この記事の著者・島田久仁彦さんのメルマガ

初月無料で読む

 

大きな悪の影に隠れる小さな悪の存在?!

「嘘が世界に流れ出し、情報の真偽が分からなくなる前に、“真実”を表に出すことが大事だ」

これは長い間、さまざまな紛争のケースや情報戦でご一緒してきた仲間の言葉です。

過去には旧ユーゴスラビア紛争、コソボ、イラクなど、多くの紛争がこの情報の混乱に苦しめられ、紛争を描写し、評価する際にAll or Nothingの善悪、言い換えると100%の悪と100%の犠牲者という“偽の”事実を植え付けられました。

サダム・フセインは大量破壊兵器を製造・保持していなかったし、クロアチアは、セルビアに劣ることなく、残虐な行為をセルビア系住民やムスリム住民に対して繰り返していましたが、ミロシェビッチ大統領があまりにも強烈なキャラクターでかつ優秀だったこともあり(そしてロシア正教系でスラビックであったこともあり)、英国の情報機関によって悪者に作り上げられました。もちろん、友人とはいえ、ミロシェビッチ大統領がコソボやボスニア・ヘルツェゴビナで行ったことを正当化することは決してできませんが。

よく似たことが、今回のロシアによるウクライナ侵攻でも言えると考えます。

2月24日に大方の予想を上回る規模と範囲でウクライナ全土に侵攻する決定を下したプーチン大統領とロシアがこれまでに行っている様々な行為は決して正当化できません。

ブチャでの虐殺“疑惑”、アゾフスターリ製鉄所を取り囲んで行った攻撃、市民への無差別攻撃、化学・生物兵器を使用した確信に近い可能性などは、言語道断です。

間違いなくロシアが行っている内容は“大きな悪”を構成していますし、その報いは必ず遠からず受けなくてはならないと考えます。

第2次世界大戦後の欧州において、そして恐らく世界全体において、最大の武力衝突を引き起こした事実は、今後、しっかりと検証されるべきでしょう。

しかし、100対0でロシアが全面的に悪いかと言われたら、そこには何とも言えない疑問が出てきます。

米国からハイマースが本格的に投入されてから、ウクライナ側からの反攻が強化され、ロシア軍が東部・南部の支配地域から押し戻されているとの報道をよく耳にしますが、その過程において、ロシア軍の蛮行に劣らないレベルでの残虐な攻撃がウクライナ軍からロシア人に対して行われているという情報をどの程度、目にされているでしょうか?

どこまで信じるかはお任せしますが、2月24日以前は、ロシア側が主張するようにウクライナ東部のドンバス地方に住むロシア系住民への、ウクライナ側、特に“あの”アゾフ連隊からの迫害が存在したと言われていますし、ウクライナでの戦争が始まって以降、ロシアからの侵攻に抵抗するためにウクライナ軍とその友人たちによって行われる“抗戦”の矛先は、ロシア系住民に向けられ、こちらでも残虐な殺戮が起きているという情報も入ってきています。

この記事の著者・島田久仁彦さんのメルマガ

初月無料で読む

 

print
いま読まれてます

  • プーチンの狂気を呼び覚ます、ウクライナ「クリミア攻撃」の最悪シナリオ
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け