卵子凍結と精子バンク利用は「普通」の衝撃。NYシングルマザー出産ウラ事情

 

そう、出産したいのにパートナーがいない、もしくはそれ以外の理由でできなくて、それでいて「年齢制限」のある女性には深刻な問題だ。その問題を解決する為、世の中の多くの既婚、未婚女性の為に、そのサイトは存在する。軽口言ってたことを猛烈に反省する。

「でも、これだけ選択肢があると、正直どのドナーにしていかわからなくなって」それぞれが厳正なスクリーニングを経た優秀なDNA。自分なりに調べても調べても、余計に混乱する。凍結した卵子の時間も無制限ではない。結局、どうやって選んだの?「ピアノが弾けるってプロフィールに書いてあった人」。

そんなものなのかもしれない。先天性のものより、この世は後天性の努力と意思が人生を左右する。「でも、ミュージシャンって書いてる人は選ばないようにした!」彼女の元旦那はジャズピアニストである。その後、無事に着床した後も、サイトからは営業メールが止まらないのだとか(笑)「(貴方の買った)彼のDNAの兄弟欲しくないですか?」「SALE!今なら、彼の1バイル、20%OFF!」など。

なんだか…GAPで服買った後みたい…、そう呟くと「でも、実はメンタル的には助かったの。カジュアルな感じでそうやって接してくれることに、あぁ、この街では特別なことじゃないんだなだって。他にもいっぱい仲間はいるんだなって」アメリカっぽさの良いところは、ハードルの高さを高いと感じさせないこと。

卵をいざお腹に戻しますってなった際、どこの誰に言われたのかも覚えていないが、「着床させる為には実際のセックスのオーガズムが必要」という根も葉もない噂を信じかけ、一瞬、女性用エスコートサービスのサイトも覗いたことがあるのだとか。結局は勇気が出ず、そしてドクターに「胚移植の前に性行為をすると着床しやすい?科学的エビデンスもないのに、そんな事する必要ない。むしろヘンなプレイされたら危険だ」と一喝され、未遂に終わったのだとか。

無事、妊娠して日本に一時帰国した際、親戚、友人から一斉に「父親いなくて大丈夫?」と心配された。中には「お父さんのいない子ってかわいそう」と露骨に反対してくる知り合いもいたのだそう。その知り合いが心から心配して言ってくれているのはわかるのだけれど、煩わしいと思ってしまったのは事実だった。

対して、ニューヨークの日本人の友人たちは真逆の反応をしてくれた。「なんでも協力するよ!」「アタシらがパパ代わりになったるわ!(笑)」。そしてニューヨークのアメリカ人の友人にいたっては、それすらなかった。「WOW!おめでとう!」「最高のニュースね!」普遍すぎて励ましの言葉すらなかったのだ。この世に新しい生命が誕生する。これ以上の最高の報告はない。それ以上でも以下でもないのだ。

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