卵子凍結と精子バンク利用は「普通」の衝撃。NYシングルマザー出産ウラ事情

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海を渡ってニューヨークでキャリアを積み、パートナーと別れて10年以上。気づけば43歳になった日本人女性が自身の凍結卵子を用いて人工授精での出産を決断したそうです。この知人女性にインタビューしたのは、ニューヨークの邦字紙『NEW YORK ビズ!』CEOの高橋克明さん。今回のメルマガ『NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明』で高橋さんは、サイトでの精子のドナー選びなど知られていない裏側を紹介。妊娠を知った日米の知人友人の反応の違いなどから、本当の意味で「多様性」を受け容れるとはどういうことか問題提起もしています。(この記事は音声でもお聞きいただけます。

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ニューヨーク・シングル・マザー出産事情

今年6月、連邦最高裁判所は約50年ぶりに「女性の人工妊娠中絶を認めない」という判断をしました。それにより北米各州で「中絶は犯罪」という州法ができ、特に中西部、南部エリアでは10以上の州が法律で中絶を禁止と定めました。2022年、現代の話です。

これ日本でももっと大々的に取り上げられるべき衝撃的ニュースです。こちらでは「民主主義は終わった」と報道するメディアも出たほど。

クラブハウスとかでよく見る、何者でもないにも関わらず「人の命の大切さ」とかを唄う人権派(?)の方々には一見「素晴らしい法律」に思えるかもしれません。「中絶は殺人と一緒!お腹の中でもすでに小さな命です!(涙目)」と、とりあえずその場だけ陶酔されている方にとっては、このニュースのどこが衝撃なのかピンと来ないかもしれない。「あたりまえのことでしょ」くらいで片付けるかもしれません。「中絶は殺人と一緒!お腹の中でもすでに小さな命です!(涙目)」は、ほとんどの常識ある人間がそう思っているはずです。僕もそうです。

ただ、世界のリアル、はそう簡単には進まない。例えば、連続殺人犯に暴行を受けて身篭ったとしたなら。例えば、近親相姦で身篭ってしまったとしたなら。例えば、出産することによって母体が命の危険にさらされる可能性のある場合は。今回の法決定は、それすら除外対象にならないということです。

もちろん「それでも産むべきだ!」と主張する人もいるでしょう。と同時に「それならば中絶するべきだ」と主張する権利も保障されるべきなのです。事実、欧米各国の著名な政治家の多くは、今回の法案を「時代に逆行している」「まるで独裁国家の復活だ」と非難しています。

国民、特にリベラルな州の人たちは当然「中絶は女性の権利」と考えています。最高裁の決定はその民意を無視したということになる。そこには最高裁判事のメンバーのほとんどがカトリックだからという理由もあるみたいですが、今回のメルマガではそこまで考察しません。

今回、僕が書きたいのは、その一方で、そんな国でも「母になりたい!」、たとえシングルマザーでも「赤ちゃんが欲しい!」と人工授精し、身篭った友人、かなこさん(仮名)43歳のお話です。

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