トム・クルーズとサイエントロジー
トム・クルーズ自身、サイエントロジーとのかかわりを一切隠そうとしていない。それどころか、出演作選び、あるいは自身の振る舞いに”布教”の匂いもする。
2014年、トム・クルーズは、テレビ番組で、
「自分の人生を本当に助けてくれたものだね。30年以上もサイエントロジーの信者なんだ。それなしでは、自分はここに達してなかったと思うよ。本当に美しい宗教なんだ。本当に誇りに思うよ」(*6)
と発言。
長年、学習障害の一種であるディスレクシアを、ロン・ハバードが生み出したという方法により克服したというのは有名な話。
トム・クルーズは、1987年から1990年までに結婚していた最初の妻であるミミ・ロジャースにサイエントロジーを紹介されたという(*7)。
だが、9歳でサイエントロジーに入信し、2013年に脱会した女優のリア・レメニは、トム・クルーズに
「騙されちゃダメ」「彼には裏の顔がある」
という(*8)側面を強調。彼女は、トム・クルーズがこれまでサイエントロジーやその信者を利用し陰で様々な悪事を働いてきたとも明かす。
トンデモSF教義
日本におけるサイエントロジーの知名度はイマイチであるが、しかし欧米を中心に教会は瞬く間に拡大していった。熱心な勧誘も一因であるが、従来の宗教からみて特別な位置にあることもかかわってくるという(*9)。
サイエントロジーの主張では、人間には肉体と心のほか、「セイタン」という要素があり、それをEメーターなる機械によって測る(オーディティング)ことが出来るとする。そして日々の修行によってセイタンのレベルを上げ、精神を解放していくのが重要であると説く。
修行の度合いによって教会でのOT(オペレーティング・セイタン)という階層が上がっていき、上位のものだけに明かされる秘儀もあるとも。
BBCの記者がサイエントロジーや脱退した元信者たちに取材を重ねていくルポルタージュである『ハリウッド・スターはなぜこの宗教にはまるのか』(亜紀書房)では、「ジヌー」という単語がたびたび出てくる。
ジヌー(XENU)は銀河連合の独裁者であり、7,500万年前、宇宙の人々を“冷凍”し、地球まで運搬していった。そしてハワイの火山に投げいれた彼らを、水爆によって殺してしまったという、トンデモSF理論だ。
■引用・参考文献
(*1)テレ朝news「【独自】“追いトップガン”ハマる理由 84回鑑賞した強者も…自衛隊に“志望者”倍増」Yahoo!ニュース 2022年8月24日
(*2)テレ朝news 2022年8月24日
(*3)テレ朝news 2022年8月24日
(*4)「第5回 トム・クルーズも信仰しているサイエントロジー教会を知ろう!」シネマトゥデイ 2006年11月2日
(*5)シネマトゥデイ 2006年11月2日
(*6)「トム・クルーズ、自身の成功はサイエントロジーのおかげ!」デイリー 2016年10月28日
(*7)デイリー 2016年10月28日
(*8)TechinsightJapan「『トム・クルーズは長年“いい人”を装い続けてきた』『騙されないで!』 元サイエントロジー信者の女優が激白」exciteニュース 2020年8月1日
(*9)吉田悠軌「トム・クルーズやトラボルタもハマる宗教『サイエントロジー』の恐るべきカルト性」LITERA 2015年3月3日
(『モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)』2022年8月28日号より一部抜粋・文中一部敬称略)
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