『プーチンの頭脳』とも呼ばれるアレクサンドル・ドゥーギンの娘が爆殺された事件。すでに容疑者は明らかとなっているようですが、この件について疑問の声もあがっているようです。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では著者で国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、その意味と、いくつかの犯人説について紹介しています。
ドゥーギンの娘を殺したのは【ドゥーギン自身】説
先日、「プーチンの頭脳」「プーチンのラスプーチン」と呼ばれるアレクサンドル・ドゥーギンの娘が暗殺された話をしました。まだ読んでない方は、まずこちらをご一読ください。
● ロシアの自作自演か?プーチンの“メンター”娘が爆殺された裏側
この件、ロシアの諜報FSBは、即座に「ウクライナの犯行」と断定。事件から2日後には、容疑者をあげてきました。ナタリア・ヴォヴクという43歳のウクライナ女性。テロを起こして即座にエストニアに脱出したそうです。
ウクライナ側は、犯行を否定しています。そして、この女性が犯人である件、「おかしいよね」という声があがっています。どういう理由で?
・犯人を見つけるのが早すぎる(FSBは、反体制派が殺されたとき、全然犯人を見つけることができない)
・ナタリア・ヴォヴクは、12歳の娘と常に移動している。車に爆弾を仕掛ける危険な現場に、娘を連れていくか普通?彼女はさらに、ネコとも一緒に移動している。プーチンの頭脳を殺す危険なミッションにネコを連れていくか、普通?
などなど。そこから、「ロシアの自作自演説」がでてきます。もちろん主張しているのは、ウクライナ政府です。朝日新聞DIGITAL8月22日。
事件の背景として、ロシア国民の不安をかき立て、正式な兵の動員を始めやすくするためにロシア側が起こしたとする見立てを紹介した。
これは、何でしょうか?ロシア軍は現在、「兵員不足」に悩まされています。そこで、「動員令」を出したいが、反発が強そうだ。わかります。誰でも、自分自身、自分の夫、自分の父、自分の息子を戦場に送りたくありません。今回のような大義なき侵略戦争であればなおさらです。そこで、「プーチンの頭脳」ドゥーギンを暗殺。「ウクライナ憎し!」の感情を煽り、「動員やむなし」の世論をつくっていく?こういうのがウクライナ側の説です。
もう一つ、「国民共和国軍」(NRA)が犯行声明を出しています。NRA、今まで誰も聞いたことのなかった団体。「プーチン政権を武力で打倒するために、パルチザン活動をしている」そうです。興味がある方は、こちらをごらんください。
● Утро Февраля – A National Republican Army is Created in Russia (English Translation)