関東大震災「99年目の真実」から予測する巨大地震発生。東日本大震災の“最大余震”はまだ発生していない!

 

COLUMN  リュウグウノツカイは「地震の前兆」か

昔からリュウグウノツカイが網にかかったり打ち上げられると「すわ大地震か」といった報道がなされる事があります。それ以外にも、珍しい深海魚の打ち上げは大地震の前触れではないかという事が言われてきました。古くは1743年(寛保3年)に出版された『諸国里人談』に若狭国の海岸に人魚が現れ、その人魚を殺してしまったら30日後に大地震が起きてひとつの村がまるごと地中に呑み込まれたとの記載が存在します。この人魚の姿が深海魚のリュウグウノツカイを連想させることから 、深海魚と地震とを結びつけた物語の例と考えられています。

深海魚が地震の前に出現するのは、地震直前に海底から出てくるガスや電磁波のようなものを嫌がり、海面近くに逃れてくるのだという説が提唱されています。

もし、このような言い伝えが本当であれば、それは防災情報として役立たせる事ができるかもしれません。そこで東海大学海洋研究所では、織原義明特任准教授が中心となり、学術文献、新聞記事、水族館等の公開情報を調べて、出現日と場所が特定できた情報から、1928年11月~2011年3月に確認された336件の深海魚出現カタログを作成しました。そして、リュウグウノツカイやサケガシラなど地震前兆の深海魚といわれている8 魚種について地震との関連を調べ ました。 

判断基準としては、深海魚が確認/捕獲されてから30日以内に、発見場所から半径100キロ以内が震源となったマグニチュード6以上の地震が発生している場合を「関係あり」と判断しました。その結果、2007年7月の新潟中越沖地震以外では、対応する地震が発生していなかったのです。

深海魚出現数はかなり日本海側が卓越していました。それに対し、地震は太平洋側、特に東北地方で多い訳です。さらに地震は季節に関係なく発生しているのですが、深海魚の出現/捕獲は冬に多く、夏に少ないという事もわかりました。

残念ながら今回のこの調査では、「深海魚出現は防災に役立つ情報」という結論にはなりませんでした。しかしながら、この結論は今回の調査結果であり、動物異常行動と地震との研究については、まだ未解明の部分も多く、今後の課題だと考えています。

2022-09-13 15.20.26

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