Aさんの被害はさらに続く
こうした被害と二次被害を同時に受け、友人らがBの行為が怖くて登校できない状態が続くようになった。逃げ場がなくなり、八方塞がりの状態が続いたわけだ。
こうした被害が起きているとき、大人の中には簡単に「ああすればいい」「こうすればいい」と勝手な解決策を与えようとしたりするが、考え得る事は全てやっているのだ。
また、こどもの被害だからと軽くみる大人も中にはいるが、大人であればこれまでの経験などで乗り越えられることも多くあるが、こどもの場合、そうした経験もなければ、回復していこうというノウハウもない。選択肢の幅も多くは無いのだ。当然に、こどもの方がより深い傷を負いやすいのだ。
この時期の診断書をみると、Aさんには専門医から「登校停止が指示」されている。
また、専門医は「他児からの暴力、迫害により不安、退行、回避、解離の症状」と明記しており、学校に行くこと自体が危険であると判断していることがわかる。
このような診断書は、専門医が自分のクリニックという看板と氏名を書いて発行する。診断書を頼まれたから書くというものではなく、事実として認め得る状態であるから書くのだ。
特に地方だと、学校や教育委員会の力が強く、その権力に負ける形で診断書自体は断る医師も少なくはないものだ。
こうした状況の中でも、勉強や友達が好きなAさんは様々な形で登校を試みた。
フラッシュバックが起きるなどして、教室に入れないというときでも、いじめによって発症してしまった聴覚過敏などのヘッドレストをつけながらも、廊下で授業を受けたのだ。
ところが、さらに事件は起きる。
本来であれば、学校の落ち度によって酷いいじめになり、二次被害まで起こしてしまった中、その一番の被害者が子どもながらに必死に頑張っていることを支援して行くのが教師の姿であろう。
しかし、この和歌山県海南市の市立小学校では、真逆のことが起きたのだ。
この学校では、教室と廊下の仕切りはガラス戸になっている。よって、ガラスの先から教室の黒板も見えるわけだが、担任は、このガラスに全て紙を貼って塞いでしまったのだ。
行動のみから、読み取れば、授業を受けることを担任が妨害したということだ。

Aさんとガラスに紙を貼られてその隙間から授業を受ける様子=Aさん家族提供

Aさん、教室に入れないため廊下で勉強をする様子=Aさん家族提供
こんなことが起きていて、全く何を考えているのだろうか。ハッキリ言う。
この担任は、今すぐ教壇から降りるべきだ。そして教育に今後一切関わらないでもらいたい。
児童と生徒が不幸になる。
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