プロパンガス業界の深い闇。アパート建築費用を入居者が肩代わり?

 

悪徳業者が跋扈するのがプロパンガス業界!適正料金は?

ちなみに、かつて円高と原油安の多大な恩恵を受けていたプロパンガス業界ですが、この業界にはもともと「透明性」や「明瞭会計」といった意識は乏しく、薄暗い談合気質の「不透明性」に覆われていました。

まったくの「自由価格制」ゆえに、地域によっては、標準家庭での都市ガス料金の2倍から3倍近くも高いプロパンガス料金がまかり通ってきたからです。

標準的な家庭(3人家族)では冬場に月間20立米程度のプロパンガスを使用するといいます(熱量は都市ガスの2倍なので都市ガスの場合には40立米に相当する)。

参考までに、次のような計算で導かれる従量制の都市ガス料金(東京ガス)と某プロパンガス業者のボッタクリ料金とを比べておきましょう(2022年8月時点)。

  • 東京ガスの基本料1,056円+単位料金130円×40立米=6,256円
  • 某ボッタクリのプロパンガス業者の基本料1,800円+単位料金800円×20立米=1万7,800円

都市ガス料金が月間6,256円に対し、某ボッタクリのプロパンガス会社は1万7,800円で、およそ2.84倍もの価格差があるのです。

最初の契約の時には、プロパンガス業者は「うちは基本料が1,500円で単位料金が350円ですから、冬場の20立米でも8,500円と、都市ガス料金と比べても若干高いだけの金額ですよ」などと格安料金提示でアピールします。

しかし、それを信じて契約すると、その後は、知らないうちに基本料金や単位料金が30円、60円と、じりじり上げられていき 、いつの間にか基本料金が1,800円となり、単位料金が650円、800円と上がるのですから、極めて欺瞞的な業界なのです。

利用明細を見ても、従量の記載すらなく、料金体系がわからないものまであるのですから、必ずチェックして、従量記載がなければ業者に問い糺すべきでしょう。

こうした業者は、野放しですが、本来「人を欺罔(ぎもう)し財物を騙取(へんしゅ)する行為」は、刑法246条の詐欺罪に該当し、10年以下の懲役刑になるものなのです。

前述の某プロパンガス業者の月間1万7,800円などという料金は、完全にぼったくり価格だからです。

これを毎月毎月と続けていって、数十年とかのボッタクリを続けられてしまうのですから、強烈な悪徳商法といえるでしょう。

多くの人が、プロパンガス料金も都市ガス料金と同じような「公共料金」と信じているがために、業者のいいように勝手に値上げされても、「そんなものなのかな…」と押し黙ってしまうわけです。

プロパンガスの仕入原価は輸入元売会社がコストとマージンを乗せても1立米当たり、180円前後で卸に販売しています。

各地の卸業者が、それをタンクローリーで小売業者に運び、コストとマージンを乗せて220~230円ぐらいで販売します。

末端の小売業者 はそれを仕入れて300~400円ぐらいで消費者に販売するというのが標準的な流れなのです。

小売業者によって価格差が大きくなるため、隣の家のプロパンガス料金と自宅のプロパンガス料金が大いに異なることもありうるのです。

つまり、プロパンガス料金は、消費者にとって基本料が2,000円を超えていたり、1立米あたり400円の従量単価(単位料金)よりも高い価格の場合は、明らかにボッタクリ価格といえるのです。

ここはよく覚えてほしいところです。

必然的に、悪徳業者は小売業者に多くなる構図でしょう。

卸業者が直接消費者に販売しているケースでは、良心的な価格設定になっている場合が多いのです。

都市ガスのほうの料金自由化の影響は、将来のプロパンガス業者の淘汰へとつながる道でもありますが、いずれにしろプロパンガス利用で、一戸建てに住んでいて独自契約ができる人は、料金チェックを行い、ボッタクリ価格なら、業者の見直しが必要──ということなのです。

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