コスパ重視の社会で「サスティナブル」を謳う、おかしな国ニッポン

Small girl with dirty hands outdoors in garden, sustainable lifestyle concept.
 

3.お金への依存は持続可能性を低くする

本来のサスティナブルとは、お金に依存しないことだと思う。なぜなら、お金の価値、相場は時代と共に変わるからだ。お金に依存したら持続は困難になる。

しかし、家庭菜園で家族用の野菜を作っていれば、少なくとも野菜が値上がりしたり、極端なインフレになっても野菜では困らない。近所の農家に手伝いに行って、報酬をお米でもらえばお米にも困らない。お金でもらうとお金で米を買わなければならない。

もし、生活に必要な物資を自給自足か物々交換で入手できれば、所得は増えずGDPも上がらないが生活には困らない。地域コミュニティを基盤にした生活インフラは持続可能性が高い。

逆に、全てをお金に依存すれば、現金収入を得るために働きに行かなければならない。現金の価値が変われば、飢餓状態に陥ることもあるし、会社が倒産すれば、収入もなくなり、生活ができなくなる。

世界中でサプライチェーンを組み立て、世界を一つの市場と考えるグローバリズムでは、ごく少数の人間がビジネスをコントロールし、大部分の個人は給与所得者に、大部分の企業は下請けとなる。自立したビジネスはできないし、多様性を活かすことはできない。

世界を多様な国や地域の集合体と考え、地域内で独自のサプライチェーンを組み立て、地域内マーケットでビジネスを行えば、少なくとも地域内の需要分のビジネスは保証される。

賃金の低い国に、生産拠点を移転するというのはグローバリズムの考え方であり、地産地消はローカリズムの考え方である。コスパはグローバリズムが優勢だが、持続可能性はローカリズムが優勢である。

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