4.最先端自動化工場と匠メーカー
グローバリズムは天井を打った。中国経済も成長から衰退へと向かっている。欧米企業、日本企業も次々と中国から撤退している。
しかし、完全にグローバリズムが終焉を迎えたわけではない。生産基地は中国から東南アジアに移り、新たなグローバルサプライチェーンが構築されるだろう。しかし、中国一極集中のような状況にはならない。各国は一極集中のリスクに直面しており、今後は生産拠点もエネルギーの調達先も分散するから
だ。
また、ロボティクス、センサー技術、AI等を駆使し自動化が進んだ先端的な工場は先進国へと回帰する。自動化工場は人件費の影響を受けない。電力の供給についても、先進国の方が安定している。
最先端の自動化工場と並行して、匠の技を活用した労働集約型だが高付加価値の製造業も期待できる。
但し、この場合は一つの工程だけでなく、メーカーとして企画から販売までのトータルな機能が求められる。下請けでは価格決定権が持てず、ビジネスをコントロールすることができないからだ。
下請け専門のメーカーも、売上の一部でいいから独自商品を開発して、消費者に販売する試みをするべきだと思う。必要な人材を社内で揃えられないなら、外部の人材とネットワークを組むこともお勧めしたい。
新たな時代に向けた一歩を期待したい。
編集後記「締めの都々逸」
「コスパコスパと 騒いでみても コストをスパッと斬るだけよ」
コスパって嫌な言葉だなぁと思います。本来は、企業が使う言葉ですよ。それを個人が使っているのも引っかかります。
親の仕事の関係で外国に住んでいた人に対して「親の仕事で外国に住むのが、語学学習ではコスパがいいですよね」と言ったとか。あのさ、親の仕事で外国に住むのはコスパじゃないんだよね。
個人の人生をコスパで評価するのは、不幸になるたけだと思います。我々の人生はプライスレス。人が生きているのは何かを経験するため。コスパで考えるものではありません。コスパ人生は明らかにお金に依存した人生です。僕は嫌ですねぇ。(坂口昌章)
この記事の著者・坂口昌章さんのメルマガ
image by: Shutterstock.com