世界の仕組みを学ぶために知っておかなければならない「地政学」。そんな大人でも理解している人が少ない世界の仕組みを、子供向けにわかりやすく、物語形式で紹介する一冊が話題となっています。今回は、メルマガ『毎日3分読書革命!土井英司のビジネスブックマラソン』の中で、 その中身についてチェックしています。
世界の仕組みを物語で学ぶ⇒『13歳からの地政学』
田中孝幸・著 東洋経済新報社
こんにちは、土井英司です。
本日ご紹介する一冊は、物語形式で地政学が学べる、話題の書籍。
著者は、大学時代にボスニア内戦を現地で研究し、その後新聞記者として政治部、経済部、国際部、モスクワ特派員など20年以上のキャリアを持つ、国際政治記者の田中孝幸氏です。
県内の進学校に通う高校1年生の大樹(だいき)と、地方の公立中学に通う中学1年生の大樹の妹、杏(あん)が、怪しい店主「カイゾク」のいるアンティークショップに入り、そこに置かれていた古い地球儀「ディプロマット」に関心を持ったことから、物語が始まります。
その怪しい風貌から、近所の子どもたちに「カイゾク」と呼ばれていた店主は、大樹が地球儀に興味を持ったのを見て、こう話を持ちかけます。
「ああ、値段か。そこに時価と書いてあっただろう。100万円にすることもあれば、タダにすることもある」(中略)「ならば、こうしようか。10日、いや7日間でいい。夏休みの間、7回ここにきて、わしの話を聞く。最終日にわしの出す問題に答えられたら、この地球儀をさしあげよう」
店主「カイゾク」による地政学のレッスンは、子どもたちに世界を理解する、強力な手掛かりを与えるもので、話は歴史、地理の基礎知識はもちろん、人間理解、国際理解にまで発展していきます。
なぜ世界貿易にとって海が大事なのか、なぜ国際法は破られるのか、国の豊かさや運命はどうやって決まるのか…。
大人もわかっていない地政学の世界にグイグイ引き込まれ、あっという間に読了してしまう、知的好奇心を刺激する一冊です。
最終日、テストに出された問題の難解さと、それに対する2人の解答が素晴らしくて、本当に感動しました。
これは「買い」の一冊ですね。