涙の弔辞で国葬「政治利用」に成功。再登板を狙う菅義偉元首相“次の一手”

 

菅氏が勉強会を発足させる動きについて、麻生氏が警戒の目を光らせているのは想像に難くない。もともと、麻生氏と菅氏の仲は良くないとされていたが、勉強会の中心人物と見られる佐藤勉氏が、ほかの議員を連れて麻生派を離脱したことも不仲に拍車をかけていた。

だが、そこは大物どうし。菅氏と麻生氏は今年5月23日、二人だけで会食をするなど、いざという時のために人間関係をつないでいる。岸田氏が不利とみれば乗り換えることぐらい麻生氏にとっては朝飯前かもしれない。

このように書いてきて思うのは、自民党の深刻な人材難だ。そもそも、菅氏の返り咲きなど、想像もしたくない話である。

さりとて、他に誰がいるのか。林芳正外相は、ハニートラップ疑惑が気がかりだ。大王製紙の元会長・井川意高氏の下記ツイート(8月8日)で噂に火がついた。


今だから言います

4月4日に故安倍元総理と食事をご一緒したとき「林さんは中国のハニートラップにかかってるでしょうね」と仰ってた。

根拠もお話になっていた。

では、国民受けが良いとされてきた河野太郎氏や小泉進次郎氏はどうか。グループの拡大をはかる菅氏が彼らを押し立ててキングメーカーに徹するという見方もできよう。

しかし、河野氏を担ぐ場合、派閥のボスである麻生副総裁の感情や立場の問題があり、その調整が難しい。それに、河野氏はスタンドプレーのイメージが強いため、幅広く党内の支持を集められるかは疑問だ。とりわけ安倍派には“アンチ河野”が多い。小泉進次郎氏への期待も大きいが、安倍内閣で環境大臣に抜擢されて以降、歯切れのいい発言が影を潜め、伸び悩んでいる感がある。

長期政権のぬるま湯に浸かり、切磋琢磨を忘れて忖度がはびこった結果、新しいリーダーが生まれてこない。それが自民党の現実なのだ。

国葬で菅氏は、友人代表として、菅氏らしからぬ情のこもった弔辞を読み上げた党内の安倍シンパは涙なしに聞けなかっただろう。その意味で、菅氏は国葬の政治利用に成功したといえるかもしれない。

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image by: 菅義偉 - Home | Facebook

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