あくまで“仮の続投”か。習近平が3期目を務めざるを得ぬ5つの「真の理由」

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10月16日から開かれる中国共産党第二十次全国代表大会において、3期目の国家主席に選出されることが確実になったと見られる習近平氏。異例の3期続投の理由についてはさまざまな説が語られていますが、米国在住作家の冷泉彰彦さんによればそのどれもが「レベル的に問題」があるようです。そんな冷泉さんは今回、自身のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』で、習近平氏の国家主席続投の「5つの本当の原因」を指摘。さらに共産党全国大会の4つの注目点を挙げ、その根拠を解説しています。

※本記事は有料メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』2022年10月11日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

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習近平氏、3期目続投の根拠と理由

中国の共産党大会(20大)が10月16日から開催されるようで、その日取りが近づいてきました。そんな中で、習近平氏の総書記3期目の続投が噂されています。どうやら相当の確率で続投となりそうです。

仮にそうなった場合の理由ですが、主だったものとしては、

(a)国家主席は最初から3期目を考えていたとして、チャイナセブンこと7名の常務委員に5年前の「19大」のタイミングで、「次世代のリーダー候補」を入れていなかったことから、当時からの計画だった。

(b)常務委員に入れないだけでなく、「19大」では従来は次期リーダー候補を当てていた「国家副主席」に、年齢的に「過去の人」である王岐山を任命しており、2015年の段階で3期目を狙っていた。

(c)父・習仲勲は毛沢東の後継者となれなかったのは、鄧小平の妨害と四
人組の妨害のダブル攻撃の被害者だからで、その教訓をベースに習近平は、権力志向が非常に強いから。

などといった論評が見られます。これはかなりレベル的に問題と言わざるを得ないと思います。(a)と(b)は、仮に3期目を狙うとして、早期から布石を打っていたという手段の話に過ぎません。また(c)ももっともらしいですが、そんな個人の権力欲で突破できるほど、共産党という組織は甘くはないと思います。

習近平氏はなぜ3期目を狙うのか?仮にそうだとして、本当の原因として考えられるのは次の5点です。

本当の原因の(1)は、ゾンビ企業、ゾンビ不動産の清算が非常に難しいという問題です。例えば不動産の恒大の問題があります。事実上とっくに潰れていますが、今現在でも整理はできていません。西側の自由経済的な法体系での、破産処理をしては、恐らく中国経済への影響は大きすぎるのだと思います。

もっと言えば、各地方のレベルで、恒大とか他のゾンビ企業を一気に精算すると、地域経済が吹っ飛ぶかもしれません。かといって、情実で操作するわけにも行かない、そんな中で政府が強力な権力を使って処理するしかないので、そのためには強力な権力が必要と思われます。

本当の原因の(2)としては、ゼロコロナの被害が甚大で、特に若年層の失業は社会問題になっているわけです。一歩間違うと、まるで大躍進や文革による経済崩壊の再現にもなりかねません。これも西側的な経済合理性で進むと、全員が不幸になるので、「ゼロコロナ」の旗は下ろせないのだと思います。そうなると、体制変更はできないことになります。

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