クリミア大橋爆破で勢いづくプーチン。米がウクライナに“テロ”を命じた訳

 

米ウクライナは8月ごろから、大砲やドローンを使ったロシア国内への越境攻撃を激化している。米国がウクライナに提供した大砲による越境攻撃は9月末から急増した。露政府は軍事作戦の中身や戦況をすべて極秘の機密にしており、当初この越境攻撃は(世論の反発を懸念して?)報じられなかったが、露議会の議員が情報の非公開に不満を表明したため露側で報道された。この越境攻撃や爆破・爆殺のテロなど、米ウクライナがロシア国内への攻撃を激化していることに対応するために、露政府が最近、国民を動員する新体制を組んだと考えられる。

Number of Ukraine’s attacks at Russian bordering regions grows significantly – FSB
Top Russian MP blasts Defense Ministry over Ukraine

露政府が国民に動員をかけ、徴兵逃れをしたいロシアの若者たちが国外逃亡を企て、これを米国側のマスコミが「ロシアは負けつつあるので必死で動員をかけている」と喧伝した。露国民から政府への不満も増え、プーチンの支持率は82%から77%へと5ポイント低下した。だが、このままプーチンの支持率が落ち、露国民の厭戦機運が強まるとロシアの敗戦もあり得る、と米国側が喧伝する中で、米諜報界がウクライナにクリミア大橋を爆破するテロをやらせた。このような劇的なテロ事件の発生は、テロ対策を担当するロシア政府への国民の支持率を高める。911テロ事件が米国を一変させたことが象徴だ。

Putin Approval Dips For First Time After Ukraine Invasion
特殊作戦から戦争に移行するロシア

今回、米ウクライナが大橋を爆破し、ウクライナ政府が歓喜し、米マスコミがロシア敗北への道を喧伝した。この「テロ攻撃」に対する報復として、プーチンがウクライナに大規模な攻撃を行った。露政府は、テロ対策として露国内の有事体制を作りやすくなり、米ウクライナと戦うプーチンへの露国内からの期待が強まる。米諜報界は、ウクライナにクリミア大橋を爆破させることで、ロシアにおけるプーチンへの支持を高め、露政府が有事体制を作りやすい状況にしてやった。米諜報界は、プーチンのロシアを強化している。隠れ多極主義的だ。

世界を多極化したがる米国
Russia, Having ‘Run Out Of Missiles’, Launches Barrage On Ukraine

米諜報界がウクライナにロシア攻撃を強めさせて戦争が激化するほど、プーチンのロシアは、優勢が確実でなくなり、ゆっくり展開しようとしていた米覇権を潰す経済戦争の策略を早回しする傾向を強める。先日、露ロシアとサウジアラビアが共謀してOPEC+が石油の減産を決め、石油価格の高騰によって米欧のインフレが悪化する流れになったことがその一例だ。以前のように、ロシアが優勢の中でウクライナ戦争をゆっくり展開していられた時期(米国側がロシアの劣勢や敗北を間違って思い込んでいた時期)が今後もずっと続くなら、ロシアが経済戦争の分野であまり動かなくても、米国側が勝手に石油ガスの輸入を止めてエネルギー危機を起こし、米英中銀群もQE終了QT拡大と利上げで金融崩壊も起こり、2-3年以内に米覇権が自滅していく流れだった。

米英覇権を潰す闘いに入ったロシア
産油国の非米化

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