だが、ゆっくりやっていると米覇権が(QE再開などで)延命してしまう可能性が増す。そのため、多極派が牛耳る米諜報界は、ウクライナをけしかけて爆破テロや越境攻撃をやらせて戦争を激化させ、プーチンが以前のようなゆっくりさでなく、もっと急いで米覇権を潰す経済戦争を加速するように仕向けていると考えられる。米諜報界は多極化のために、プーチンをけしかけるだけでなく、欧米の労働組合を動かして賃上げ要求のストライキをやらせ(左翼活動家の中に米諜報界の要員・傀儡がいる。たぶん日本でも)、フランスの製油所を2週間止めてガソリンなどの供給を大幅に急減させて、欧州のインフレを悪化する動きも展開している。長引く米国の流通網の詰まりも、インフレを激化させるための米諜報界の策略の「成果」と考えられる。
● With A Third Of French Gas Stations Experiencing “Supply Shortages”, Energy Giant Seeks Urgent Wage Talks
● 資源の非米側が金融の米国側に勝つ
ロシアと米諜報界の「協業」によって米欧のインフレが悪化し、米英などの中銀群が利上げやQTを続行し、債券の金利が上昇して金融危機がひどくなっている。英国では国債が暴落し、長期国債の金利が5%になろうとしている。9月28日に英中銀が介入し、英国債を無限に買い支えると宣言して、いったん金利が下がって危機が遠のいたものの、10月10日に再び国債が急落し、長期金利が再度5%を越えそうになっている。英国はもう中央銀行が救済策を打っても金融崩壊を防げない状態になっている。
● 破綻が進む英米金融
● BoE’s New Support Plan Fails As UK Gilt Yields Explode Higher
英国が崩壊したら、次は米国だ。米英は、金融バブルが猛烈に拡大した状態なので、長期金利が5%以上の状態が長引くと利払いの増加によって金融システムが確実に破綻する。米金融界がそう言っている。ドル崩壊が目の前まで来ている。このような事態の中、隠れ多極派の米諜報界がプーチンをけしかけ、インフレをさらに悪化させてドルや米覇権にとどめを刺そうとしている。そんな状況が、クリミア大橋の爆破攻撃の背後にある。
● 米諜報界を乗っ取って覇権を自滅させて世界を多極化
● Are Central Banks Going Bankrupt? Morgan Stanley Makes A Striking Observation
(無料メルマガ『田中宇の国際ニュース解説』2022年10月11日号より一部抜粋・敬称略)
image by: Oleksandr Polonskyi / Shutterstock.com