人に対してなにかを伝える時、あなたはなにか気を遣っていることはありますか?実は、ある言葉を使い続けていると会社全体が危機に陥ることもあるのだとか。そこで今回は、メルマガ『販売力向上講座 NEXT』の著者で接客販売コンサルタント&トレーナーの坂本りゅういちさんが、人に何かを伝えるときに絶対に「言わない」ことを紹介しています。
この記事の著者・坂本りゅういちさんのメルマガ
私は「こうしなさい」と絶対に言わない
伝える時に気を遣っている“あること”
僕が人と話をする時や研修などの際に気を遣っていることのひとつに、「こうしなさい」と言わないというものがあります。
例えば接客のやり方をお伝えする時に(言い方は別として)、「あなたはこうだから、代わりにこうしなさい」的な伝え方は避けるのです。
様子を見ていたり話を聞いていて、「こうすべきだろうな」と思うことももちろんありますが、できる限り「こうしなさい」「こうすべきです」のような言い方はしないようにします(コンサル的に求められることもたまにあるので、絶対にしないとは言えませんが)。
その代わりにどう伝えるかと言えば、「僕ならこうします」や「こうすると良いかもね」のような伝え方を心がけています。
なぜ「しなさい」と言わないのか
「こうしなさい、こうすべき」という伝え方は、本当に迷ってどうすれば良いかがわからない人にとっては確かに有用なこともあります。
でも、それは時に自分で考える機会を奪うことにもなるのです。
上司なり誰か答えを持っている人が、「こうしなさい」と伝えると、聞かされた側は従うことが答えになります。
それが合っているか間違っているかどうかではなく、従うことこそが答えになってしまうのです。
その通りに動くことで正解を導き出すことはできるでしょうが、その正解は自分で頭を使って導き出したわけではありません。
他者の答えをそのまま使っているだけです。
個人的にこの繰り返しになってしまうと、自分の頭を使わない人間が出来上がっていくだろうと考えています。
小さな子供で、まだモノの分別もできないというのであれば話は別かもしれませんが、多少自我が芽生えてきているのに「こうしなさい、ああしなさい」ばかりで育てられると、親の意向を聞かないと行動できない人間になっていくでしょう。
子育てのその感覚と同じで、会社や店での教育においても、自分で判断できる考えや思考が身に付かなくなると思うんですね。
だから答えを求められることはあっても、「僕ならこうしますけど、この話を聞いて何をどうするかは自分で考えてくださいね」という伝え方をするのです。
実際にこうした伝え方をすると、なかなか面白い現象が起こります。
例えば店長と何気ない席で話をしていて、「こういうことで悩んでいるんですけど、どうしたらいいですか」と聞かれることがあります。
そこで「僕の場合はこういうやり方をしますよ、でもどうするかは自分で考えてね」というと相手はうんうんその場で唸り出し、頭を使い出すのです。
自分の頭で考えることに慣れている店長だと、「私の店だとこんな状態なので、こういうやり方ってどうですかね??」とさらに疑問を解消しようと質問を重ねてくることもあり、それが真に迫っていくようになります。
しかし、自分で考えることに慣れていないタイプの人は、「え?答えは教えてもらえないの?」的な状態になりフリーズします。
そこから先、自分で答えを導き出す方向に頭が働かないのです。
何が面白いかといえば、前者の店長はやはり店で結果を出している人が多く、後者の人はあまり結果が出せないタイプであるということ。
わかりやすく結果に違いが出てしまうくらい、自分で考えられる頭を持っているかどうかは重要なのです。
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