これまで、中国、ロシア、韓国は、日本が先制攻撃も報復攻撃も何もできないと甘く考えてきた。日本を、過去に悪いことをした「ならず者国家」扱いして、言いたい放題、やりたい放題だったではないか。だが、一方で日本の「いつでも核を持てる潜在能力」には恐れを抱いてきた。圧倒的な経済力と高い技術力を持つ日本の核武装は、これらの国が最も回避したい「最悪のシナリオ」なのだ。
日本の核武装は「極論」であり、現実的ではないかもしれない。だが、その検討を行う姿勢をみせるだけでも、日本は生き馬の目を抜く国際情勢の中で、強い「交渉力」を持つことができる。日本は生き残るために、その交渉力を持つべき時なのではないだろうか。
問題は、旧統一教会と政治の関係に端を発して、岸田内閣の支持率が急落しており、安全保障政策を推進していく体力を失いつつあることだろう。特に、安全保障政策の中心を担ってきた「安倍派」を中心とする保守派が、旧統一教会との深い関係と批判されていることが深刻だ。
また、旧統一教会とその関連団体・勝共連合の政策志向が、保守派と一致していることが問題だ。安全保障政策の推進を主張すると、その背後に、旧統一教会の影響を疑われてしまうからだ。その意味で、現在の政治情勢は、安全保障政策を進めていくことが難しい状況にある。
私はこの連載で、保守派の政治家が国内では「国益を守る」と強気なアピールをする一方で、「日本をサタンの国」とする外国の宗教の支援を受けてきたことに垣間見えたように、国外では「土下座外交」を続けてきたことを批判した。現在、まさにそのツケを払わなければならない状況になっているのではないか。
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「日本をサタンの国」とする団体に便宜を図り、選挙で票をもらってきた結果、国民の生命と安全を守る安全保障政策を整えられないのだとするならば、保守派政治家の行為は、まさに「国を売る」ものだったといえるのではないだろうか。
image by: 朝鮮労働党機関紙『労働新聞』公式サイト