北ミサイル開発を“援助”した日本。先制攻撃も報復もできぬ我が国の自業自得

2022.11.10
 

なぜ、日本ばかりにミサイルが発射されてきたのか。それは、日本近海以外にミサイルを落下させることができる場所がなかったからだ。中国とロシアは、核保有国である。北朝鮮が、この両国の領土内にミサイルを落としたら、報復攻撃が怖い。ミサイル発射台に先制攻撃を仕掛けられるかもしれない。また、韓国は核保有国ではないが、北朝鮮は同じ民族に向けてミサイルを撃ちたくはないだろう。

ところが、日本は核保有国でない上に、憲法上「専守防衛」という制約がある。「先制攻撃」も「報復攻撃」も認められていない。北朝鮮からすれば、何も恐れる必要がなく、日本に向けてミサイル発射を繰り返すことができた。その結果、北朝鮮はICBMの開発にまで至ったし、多数のミサイルを一度に発射できる能力を持ったということだ。言い換えれば、日本が北朝鮮を先制攻撃、報復攻撃できたならば、北朝鮮はミサイルを行う実験場がなくなり、ミサイル開発を続けられなかったはずだということだ。

そして、日本が北朝鮮を巡る外交戦でも「蚊帳の外」になりがちな本質的な理由がここにある。いくら北朝鮮への「圧力」を訴えても、実は日本こそが「穴」となっていて、北朝鮮のミサイル開発を許しているということを、米国・中国・ロシア・韓国に見透かされているからではないだろうか。

岸田内閣は、日本の置かれた厳しい現状を認識してはいるようだ。防衛費の抜本的強化の方針を打ち出し、防衛予算をGDPの2%以上にすることを目指している。

防衛力の抜本的な強化では、継戦能力の向上と敵のミサイル拠点をたたく「敵基地攻撃能力(反撃能力)」の保有を課題としている。これは北朝鮮を念頭に置いたものである。現状では、北朝鮮が多数のミサイルを発射してきたとき、弾薬の在庫が足りず、数日も持たないとの指摘がある。経戦能力が脆弱であり、その向上が課題となっている。

また、「敵基地攻撃能力(反撃能力)」の保有とは、北朝鮮の弾道ミサイルを迎撃する技術に限界があることから、抑止力として浮上しているものだ。防衛省は、来年度予算案の概算要求で敵基地攻撃能力にも使える射程が長い「スタンド・オフ・ミサイル」の量産などを既に盛り込んでいる。

その方向性は間違っていないが、十分ではないのではないか。私は、日本の「核武装」も真剣に検討する段階に来ているように思う。日本が、北朝鮮問題における現在の「蚊帳の外」状態を打開するには、「核武装」を交渉カードとして切る必要があるように思うからだ。

もちろん、北朝鮮のみならず、米国、中国、ロシア、韓国が一斉に日本を非難するだろう。中国は、日本製品の禁輸など、経済制裁をチラつかせるかもしれない。しかし、日本が核武装に不退転の姿勢を見せれば、これらの国は、口先だけで「非核化」を言うだけではなく、真剣に北朝鮮の核廃棄に動き出すはずだ。もっと踏み込んで、金正恩氏の亡命や、金体制を崩壊させるように裏で動き出すかもしれない。

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