反撃能力に適した武器か?日本政府が購入検討「米トマホーク」の正体

 

これ、ここには歯止めがないんですよね。必要だと言えば必要になってしまうので。これが止めどない軍拡に道を開くのではないかということと、仮にその通りに何か予算化されたとしても、ではそれで安全になるのですか、ということはありますね。もう一つ言えば、特に海上自衛隊のように米軍の極東戦略に深くコミットさせられている軍事組織が本当に日本のために、日本の国土と日本でくらす人々の安全に寄与できるのか、ということもありますね。

なんとなく、トマホークの話が出てきたのは、アメリカの要求ではないのかという気がしますね。日本側から「それが必要なので」ということではなくて、とりあえず日本側としてはお茶を濁せるというか。お金を使うことによって、それも酷い話だけれど、カネを使うことによって防衛比の対GDP比の2%を実現すればいいのだと、それって、アメリカに対して、アメリカの満足するようなことが安全保障だと言っているように聞こえます。それはおかしな話だと思うのです。それで、とりあえずトマホークという話にどうもなるような…これって海軍と相性がいいでしょ。

VLSという、潜水艦が海の中からミサイルを撃つ装置がありますが、それを使って潜水艦からも、護衛艦からも…そう、それでも護衛艦というんだよね、ほぼ先制攻撃可能な軍備なんだけど。ちなみに湾岸戦争の際は、勿論イラクのクウェート侵攻はあったが、米軍と多国籍軍ですかね。その開戦の劈頭(へきとう)を飾るのがトマホークだったような記憶です。今言われているような反撃能力に合致した兵器だとは思えないところがありますね。そういうふうに思っております。

で、予算の話。これがまた、我々ものすごい無理をしているじゃないですか。自然にみんな普通に暮らしているようですけど、国家財政は1,400兆円の赤字でしたっけ?巨大な財政赤字を抱えていて、まだなんともないような顔をして暮らしてきているわけですけれど、そこに防衛費の増額と言うことになると、財源はどうするのだという話は当然のように出てきていて、これ、ずるいというか、ある意味必要なことも当然あったわけで、たとえ復興債のようなものはそうですが、東日本大震災の時の復興債は我々、源泉徴収の時に10%に0.25%を加えて払っていたじゃないですか。あれ、復興債の償還財源ですよね。

つまりこれ、「つなぎ国債」という奴。つなぎ融資というのはよく聞きますが、つなぎ国債というのがあるんですね。借金はするんだけれども、普通の国債よりも償還期間が短くて2年とか3年とかで。3年後に償還するということを法律にしなければならない。法的な義務になるわけですね。とはいえ、用は期間の短い、償還財源が法定されているタイプの国債。ちょっと貸しておいてという話ですね。ちょっとの期間だけ。我々としては増税の痛みを比較的感じにくい状態の借金。これはとても、期間は短いながらも危険な話ですよね。国債の赤字自体はその期間、積み上がるわけですから。そんなことをしなければならないということを含めて、非常に無理の多い政策をまたもややろうとしているということだと思います。

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