進む“世界政府”構築。なぜ米諜報界は中国の覇権拡大を図るのか

 

コロナ対策も温暖化対策も、米諜報界がウソの構図を作って進めてきた。当初は中国や非米側を弱める策略だったのが、途中から欧米が自滅して非米側が台頭する多極化を加速する策略に転換した。中国は、米諜報界が作ったウソの構図を壊さず維持したまま、対策の中身だけ米国側の自滅と非米側の強化につながるように変質させた。その後2020年ごろから、ダボス会議を主催する世界経済フォーラム(WEF)が、コロナや温暖化やその他の欧米自滅につながる諸策を束ねて「大リセット」としてやり出した。WEFはジョージ・オーウェルのディストピア小説『1984』を地で行くような「温暖化対策として欧米が家畜の飼育を減らし、欧米市民は肉を食べるのをあきらめて昆虫や人造肉を食べなさい」といった、欧米市民を怒らせるような話を流布している。

「大リセット=新常態=新しい生活様式」のからくり

…ここまで書いたところで、すでにたくさん書いた記事群の繰り返しに過ぎないことに気づき、いったんボツにした。

追記。習近平は、WEFがやっている「1984ごっこ」に参加している。コロナの都市閉鎖の規則を守らなかった人を文化大革命の人民裁判みたいに街頭引き回しの刑にしたり。共産党大会の席上、世界が見ている前で習近平が、前任者で鄧小平派の胡錦涛を強制退去させる「粛清劇」を演じたこととか。胡錦涛は何かの罪を着せられたのでなく「健康問題」から退去したことにされた。その点が、あの「粛清」が本物でなく「劇」であることを示している。習近平は、毛沢東という歴史の悲劇を意図的に繰り返している。「二度目は茶番として」。中国のゼロコロナ策も、習近平の権力強化と、WEF系の1984ごっこの両方を兼ねている。

ひどくなる大リセット系の嫌がらせ

追記2。中国がこれから主導しそうな非米かつ多極型の覇権体制は、明清までの中国がやっていた「冊封体制」を模していると感じられる。冊封体制は、やんわりした覇権体制で、琉球王国のように「両属」も許されたし、足利義満が冊封体制に便乗して「日本国王」を名乗って明朝と勘合貿易して儲けることも許された。近代の英米覇権のように、明清の冊封体制も傘下の諸国の動向をさぐる諜報活動をしていたはずだが、両属も僭称貿易も大目に見て、現実的に対応していた。近代の米英覇権が、傘下の諸国を完全に傀儡化したがったのと対照的だ。アングロサクソンは、支配欲や正義を演じたがる欲求が強く、偽善者が多い。中国人は支配欲より金銭欲が強いので支配や正邪の体制維持よりも現実的な儲けを重視する、ということなのかもしれない。

国民国家制の超越としての一帯一路やEU
沖縄から覚醒する日本

自民党政権の日本は琉球を見習って、すでに「両属」をやっている(倭の右翼は、琉球人を脅すのをやめて尊敬すべき)。日本は、一方でアングロサクソン向けにゴリゴリの対米従属を演じながら、他方で親中国な政策をとり続け、やんわりな中共王朝の「新冊封体制」に入っている。米国は日本が両属をやって非米化しつつあるのを知りつつ黙認している。この黙認は、支配欲のアングロサクソン的でなく、現実利益重視の華人的でないか?米国(諜報界)を牛耳っているのが隠れ多極派だから、日本は許されているのかもしれない。両属体制を作った安倍は殺され、日本のマスコミ権威筋・左翼リベラルは安倍の死を冒涜する愚行を続けているのだが。

安倍元首相殺害の深層

(無料メルマガ『田中宇の国際ニュース解説』2022年12月7日号より一部抜粋・敬称略)

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