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大量に生まれる「社会に価値を提供出来なくなった」人たち

今後、人工知能が人類を超えて賢くなってしまうシンギュラリティの話題が増えるだろうと思いますが、私は「地球が人工知能に乗っ取られてしまう」ことを心配することよりも、「人工知能の誕生により、社会に価値を提供出来なくなってしまった人たち」が大量に生まれることの方を心配すべきだと思います。彼らの不安や不満を巧みに利用したポピュラリストが選挙に勝ち、それが極端な人種差別政策や排他的・利己的な国の運営につながる可能性は否定できません(トランプ大統領の誕生が良い例です)。

「社会の下層部に追いやられてしまった人たち」が一番必要としているのは、もちろん社会からのサポートですが、残念なことに彼らは、その苦しさから紛れるために「自分より下の人々の存在」が必要だと感じてしまい、それが人種差別や隣国との争いに発展するのです。

こんなことを言うと「そんな人ばかりじゃない」と怒る人がいると思いますが、残念ながらこれが人間の性(さが)・弱さであり、歴史がそれを証明しています。

人工知能の進化は今更止められないし、止めるべきではありません。そして、それが大量の失業者を生み出すことも自明であり、彼らの弱さを利用するポピュラリストの誕生も必然です。

私たちに出来ることは、こんな人間の弱さを正直に認めた上で、そこを巧みについたポピュラリストが政権を握ってしまうことをどうやって防止するか、そして、万が一握ってしまった場合に、彼らの暴走をどうやって食い止めるか、を考え、準備しておくことです。

その意味でも、自民党が憲法に付け加えようとしている「緊急事態条項」には慎重であるべきと私は考えます。「緊急事態条項」は、緊急事態宣言さえすれば、国会議員の任期を延長したり、国会を通さずに緊急法令を制定する権利を政権に与えてしまうため、政権の暴走を止められなくなってしまうのです。(『週刊 Life is beautiful』2022年12月13日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみ下さい。初月無料です)

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