月額の定額報酬を増やそうとする銭ゲバ法定後見人!
なぜこうなるのか──といえば、前述の通り、被後見人にカネがかかると、現金の資産総額が減るからです。
現金の資産総額が減ると、法定後見人の「名ばかり後見」に支払われる家裁で決められた月額報酬も減らされてしまうからです(法定後見人は年に1回だけ、家裁への形式的な後見状況の報告義務がある)。
法律専門職による法定後見人の月額報酬は、管理する現金資産が1,000万円以下の場合は月額2万円、5,000万円以下の場合は月額3~5万円、5,000万円以上は6万円、1億円以上なら10万円というのが、家庭裁判所が決める相場となっています。ろくに何もしないのに、結構な高額報酬が得られます。
当然ですが、現金資産額の乏しい、生活保護受給の認知症の老人への法定後見などは嫌がられ、放置プレイで極端に粗雑に扱われます。
しかし、月額2~6万円の定額報酬が貰える法定後見を、一人の法律専門職が10人~20人と引き受ければどうなるでしょうか。結構な安定収入にもつながるのです。
月額5万円の後見を10人やれば、何もしなくても年収は600万円になり、20人なら年収は1,200万円になります。
10年長生きしてくれれば、6,000万円から1億2,000万円も儲かります。
後見といっても普段はほとんど何もしないのですから、これらは「不労収入」に近いわけです。
「後見」の役割の実態は「利益相反」の悪質な所業ばかり!
そのうえ困ったことに、法定後見人は月額報酬をさらに増やそうと、本人所有の不動産や株式、投資信託といった実物資産や金融資産を売り捌いて、換金しようとします。
前述したように、法定後見人の月額報酬は、管理する現金資産の額によって決まるからです。
ゆえに、どんなに多額の家賃収入がある不動産だろうが、配当収入の高い金融商品だろうと、片っ端から「現金化」したがる のです。
そうすることで、現金資産額がふえれば、自分の月々の定額報酬も跳ね上がるからです。もはや、悪魔の所業なのです。
こんな悪質で出鱈目な成年後見人が少なくないのですが、2021年には、法定後見人の数は24万人にも達している──というのです。
そして年間3~4万人もの新たな成年後見人の選任が家裁を通じて行われているのが日本の現状です。
認知症老人が、いかに法律専門職たちの「オイシイ餌食」になっているかが窺えます。
こんな悪徳・悪質法定後見人の被害に遭わないためには、認知症になる前に、あらかじめ「任意後見人」を選んでおくことが大切です。
自分が信頼できる親族や知人、あるいはよく知った法律専門職の人と話し合い、後見支援の内容までをまとめた上で、「任意後見契約」を公証人役場で公正証書契約としておくことです。
これなら、認知症になっても、家庭裁判所に勝手に法定後見人を選任される愚も避けられるのです。
銭ゲバ法律専門職には、くれぐれも気をつけていただきたいのです。
認知症老人の財産までが浸食され、その家族までもが莫大な被害にも遭いかねないからなのです。
それでは、今回はこのへんで。
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