園児虐待報道の後に「保育園側の指導が厳しい」と嘆く保育士たち

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保育士による園児への虐待報道が続いた後、保育士からの相談が増えているという、無料メルマガ『採用から退社まで!正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ』の著者である社会保険労務士の飯田弘和さん。その相談内容とはどのようなものなのでしょうか? 

相次ぐ保育士による園児への虐待事件。適切な注意・指導について

保育士による園児への虐待事件報道があって以後、保育士さんからのご相談が増えているように感じています(もともと、保育士さんからのご相談って多いんですけどね…)。

その相談の多くは、事業所(保育園)の過剰な指導に対するものです。

虐待の報道を目にすれば、自らの保育園で同様のことが起きていないか調査を行うのは、事業主としては当然です。

保育園側としては、園児に対する虐待や不適切な言動がなかったかどうか調査し、もし問題が見つかれば、再発防止の対策を講じることになります。

再発防止策としては、従業員全員を対象とした研修や従業員への個別の教育や注意・指導、従業員や保護者からの情報提供システムの設置等が考えられます。

研修については、たとえ業務終了後に行われたとしても、原則として労働時間として賃金支払い義務が生じます。

ただし、研修への参加が自由であり、参加しなかった者に対して会社から不利益な扱いを受けないものであれば、その研修時間は労働時間とはいえません。

ただ、このような研修は従業員全員に行うべきでしょうから、賃金を支払ってでも、全員に受講を義務付けるべきでしょう。

調査については、プライバシーに配慮した対応が必要です。

また、注意や指導については、過剰になり過ぎないようにしなければなりません。

あまりに長時間に及ぶ注意・指導や他の従業員がいる前での“見せしめ”的な指導、乱暴な言動や脅すような言動は、適切な注意・指導ではありません。

そのような注意・指導は不法行為ともなり得ます(ちなみに、たとえ“見せしめ”でなかったとしても、他の従業員がいるところで注意や指導を受けたことを問題と考える労働者は多いです。注意や指導を行う立場の人は、考慮が必要です)。

あくまでも、注意や指導は、再発防止や社内秩序の維持を目的に行うものです。

相手にその意味を理解してもらい、納得してもらうことが重要です。

その目的から逸脱しないよう、適切な指導を行うように心掛けてください(虐待等の行為に対する罰則は、別途、懲戒処分として行なってください)。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 飯田 弘和 【発行周期】 週刊

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