市民の不満を外国に向けさせる中国。春節で「不満分子」を国から追い出す作戦か

 

武漢では、先月中旬に医療スタッフや介護スタッフの感染率が70%を超えたと報告され、医療スタッフの家族の高齢者の多くが高いリスクを抱えながら薬を手に入れることができませんでした。しかし、幹部病棟の人たち、特に特別な医療保障を受けている人たちは、簡単に薬を手に入れることができ、症状があればいつでも服用できるため、多くの医療スタッフから強い不満の声が上がっているとされています。

これまでも、共産党幹部や富裕層ばかりが優遇されている現状に、市民は強い不満を抱いてきました。だから習近平は「共同富裕」(貧富の格差を是正し、すべての人が豊かになる)というスローガンを掲げたわけですが、新型コロナという命の問題に直面して、その格差が露骨に表面化してしまいました。「白紙革命」をきっかけに、これまで抑圧されてきた不満が一気に飛び出しつつあるのが現状なのです。

もちろん中国共産党は反政府デモの取締を強化していますが、一方で、不満の矛先を諸外国に向けさせようともしています。中国からの渡航者に対して、諸外国が規制を強化していますが、中国外務省はこれを「政治的」だと批判し、報復措置を取ると述べました。
【解説】春節「民族大移動」? 日本への影響は 中国の感染発表“実態反映せず”|読売テレビニュース

中国政府としては、旧正月を前にして、不満分子を国内から追い出したいということなのでしょう。そうすれば海外で勝手に薬を買い占めてくれますし、また社会不安の原因となっているコロナ患者も海外に「輸出」できます。

なにしろ、台湾では1月1日から2日まで、中国発台湾着の航空便4便の搭乗者のうち、27.8%が新型コロナ感染者と確認されています。中国からやって来る4人に1人以上が感染者なのです。イタリアでは中国発の入国者の陽性者の割合が38~52%と半数近くにもなっているといわれています。
中国「変異株の恐怖」で下痢止め売り切れ…台湾、中国からの入国者28%が陽性 | 中央日報

韓国では、海外から入国してきた新型コロナ陽性者の76%が中国からのものだと報じられています。
南韓最新境外輸入病例猛增 中國入境感染者佔76% – 自由時報電子報

日本でも、昨年12月31日には、空港検疫でコロナ陽性が確認された92人のうち、90人が中国滞在者だったことが発覚し、中国からの渡航者に感染者がいかに多いかということが明らかになっています。「中国からの渡航者の規制をするな」という中国政府のほうが無理な話ですが、中国政府としては、「諸外国が中国を差別している」と憎悪を煽り、さらには「中国のコロナ蔓延は海外からもたらされた」とかつてと同じように責任転嫁を目論んでいると考えられます。

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