印象的だったのは、コンサルティングに「答え」はないという著者の言葉です。コンサルはヒアリングをして、問題を定義し、対策を考えます。問題のない企業は存在しないので、その中で「何が問題か」を定義することがポイントとなるのです。
そして、限られた時間内で最大の結果を引き出すために「何が問題か」という「仮説」を立てながら検討していくという。
ただ、欧米であれば、データを集めて事実を積み上げ、それを元にグラフを書いて説明すれば、方向性が間違っていなければそれで終了。ところが日本では、なかなか納得してもらえないし、実行まで行かないというのです。
したがって日本でのコンサルでは、顧客と一緒に検討し、顧客が自ら問題と対策に気付いたかのように導くのが対策が実行されるためのポイントなのでしょう。
戦略コンサルティング・ファームの仕事とは、答えを教えることではない。答えを「考える」ことであり、そこにかかる時間と労力に対して対価をいただくのである(p99)
日本代表となって苦しい時期に、ホンダ二輪部門と一緒に戦略を検討したこと。ユニ・チャームの商品を半分にして、海外進出を提案し、大きい成果を出したことなど、ボストンコンサルティンググループの成功事例が興味深い一冊でした。
現在では、自社だけで検討するのではなく、外部のコンサルも入れるのが常識ですが、そうした日本の企業文化を変えてきたという自負が伺えました。
最初に井戸を掘った人を忘れないという意味で、堀さんは日本のコンサル業界で記憶されるべき人なのでしょう。
堀さん、良い本をありがとうございました。
【私の評価】★★★★☆(85点)
<私の評価:人生変える度>
★★★★★(ひざまずいて読むべし)
★★★★☆(素晴らしい本です)
★★★☆☆(読むべき一冊です)
★★☆☆☆(余裕があればぜひ)
★☆☆☆☆(人によっては)
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