現役医師がカラクリ暴露。なぜ医師国家試験の合格率は異常に高いのか?

 

卒後3年目以降の医師の進路は無限大

特に専門を定めずに色々なバイト(医師にはいろんなバイトがあります)で生きていくもよし、専門でやる科を決めて修行に入るもよし、医師を辞めるもよし!自由です。

ここで専門の科を決めて学ぶこととなった医師を「専攻医」と言います。なので医師が全員研修医の後に専攻医になるわけではありません。専攻医は概ね指導してくれる医師から教えてもらいながら色々な臨床経験を積みつつ、学会に入会することが多いです。

たとえば「よし、これからは俺は精神科医として研鑽を積むぞ!」となったらやはりある程度やってきた結果を形に残したいかなとは思います(私は思いました)。

そうなると1日も早くしないといけないことがあります。それは学会入会です。精神科だと日本精神科学会にとにかく早く入会した方が良いです。

何故なら専攻医の次に目指すのは皆さんがよく聞く「専門医」なのですが、専門医には「その学会に所属し、研修を開始してから3年以上」という条件を満たさなければ専門医試験の受験資格すら発生しません(その他経験症例を集めたり色々するので思い立ったら即受験!とはなりません)。しかも指定された「指導医」という資格を持っている「専門医」がいる「学会が認定した専門医研修病院」で研修を受けて、一定数以上の症例を指導医の指導のもと治療を行ったことをまとめたレポートを提出するナドナド…結構計画的に生きていないと満たせなさそうな条件をクリアして、初めて「専門医試験」を受験できます。今も制度は難化傾向にある中、正直早く受けたほうが絶対楽(一番最初の試験だけは極端に難しかったりしますが)なのでこれを読まれている医学生さんや研修医の方がおられたら(居るのか?)、専門が決まったら毎年計画的に最短で資格を取得できるように動きましょう!

専門医とか指導医とか

なんだか話がそれましたが、サラッと「指導医」の話が出てきました。今までの話で

  • 医学生は医師国家試験を合格した後、新臨床研修を受けて研修医になる。(研修修了したら診察行為を行えるようになる)研究をしたい場合は別に受けなくて良い。
  • 研修修了後、自分の専門分野に進むと「専攻医」になる。専門分野をしっかり学ぶために学会の認定している病院で「指導医」に指導を受け、専門医試験を受験し合格したら「専門医」になる。

という流れでしたが、突然出てきた指導医ってなんじゃこれ?ですね。指導医は「専門医」であり、かつ更に一定の臨床経験年数があり、指導講習を受けた医師(移行期間中の場合は1回目は指導講習免除)が学会に認定されてやっと「指導医」になります。

つまり順番?としては「医学生→国家試験合格→研究者or研修医(2年)→専攻医or専門を持たない医師→専門医→指導医…」という風に右に行けば行くほど何らかの試験や講習を受けているということがわかるかと思われます。ただし途中で「早く取ったほうが有利」と書いていた通り、どこの科の専門医でも実はそこまでやってないのに専門医を取得できている医師もいます。

それは制度の切り替わりの狭間にいた医師です。今まで20年これ一本でやってきた!みたいな先生に「制度を変えるので」と試験を受けるために色々しろと言うのも言いづらいし、そもそも指導医がいない初期の初期ってどうしたの?ってなりますよね。まぁ、ある一定の年度以上の先生は無試験……いや、今までの功績を認められ、専門医になっていたりします。小さい声で言うならば初めて受診するときにはやはりある程度若い(アラフォーアラフィフくらい)の先生が一番持っている資格と勉強量がマッチングしている可能性が高いのでオススメじゃないかなぁと思ったりします(先に亡くなられる可能性を考えると、なるべく若めの先生を主治医にした方がいいですし……)。

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