コスプレが大きな鍵になる?次世代のアパレル企業が進むべき道とは

Japan anime cosplay . women
 

3.ファッションは全てコスプレだ!

コスプレは、漫画やアニメ、ゲームのキャラクターに扮装することです。多くは二次元のキャラクターですが、それを人間が三次元で再現するということです。

日本では伝統的に人形に扮装するという文化がありました。歌舞伎の荒事に登場するキャラクターは人形浄瑠璃の人形の顔や装束に似ています。人形は小さいのでデフォルメして作られますが、それを等身大に再現することで、現実離れしたシュールな造形をつくり出しています。

更に、歌舞伎には人形振りがあります。人形浄瑠璃の人形の動きを人間が等身大で再現するもので、「櫓のお七」という演目では、櫓を登るお七の狂乱が人形振りによって強調されています。

舞妓人形は舞妓を模した人形ですが、私は舞妓の化粧や姿そのものが、人形を模したものではないかと考えています。

これはロリータ愛好家が、フランス人形を模しているのと似ているからです。フランス人形はヨーロッパの白人女性をモデルにした人形ですが、それを日本のロリータ達が真似をする。なぜか、フランス人の少女たちも日本人のロリータはカワイイと言います。顔は平面的だし、背も低く脚も短いのですが、それが人形のようにカワイイのでしょう。成熟した女性を表すセクシーという概念の対極にカワイイという概念があり、それはどこか人形染みている感覚なのです。

例えば、田舎の娘達を京都に連れてきて、芸事や所作を教え、京言葉で話し、顔を白塗りにして、舞妓の衣装を着せれば、誰でも舞妓になれるのです。

このように日本には人形を人間が演じたり、それをまた浮世絵で二次元化したり、浮世絵を真似る人が出てきたりと、自由自在に、異世界転生するように次元を乗り越えています。

その延長にコスプレがあると思います。二次元のキャラクターを三次元の人間が演じることで、二次元しか許されないカワイサを獲得することができます。

最近のアイドルの姿はアニメに似ています。髪の色や化粧、衣装などを整えることで、アイドルが完成します。これは少女を舞妓にするのと同じ手法です。アイドルとは普通の少女がアイドルに扮装しているのです。

そう考えると、皆、誰かに扮しているのかもしれません。できるビジネスマンに扮装したり、知的な弁護士に扮装する。

多分、仕事かできる特定の職種に見えるように上手く扮装した方が、相手にあるべきイメージを伝えられるので、仕事も上手くいくはずです。

最近では、更にメタバースという仮想世界が登場しています。そこではアイデンティティのコスプレが行われています。誰でも名前、声、姿を変えることができるし、一人の人間がいくつものキャラクターを演じても良いのです。

リアル世界もバーチャル世界も、まず自分のキャラクター設定をしてから、声やしゃべり方をキャラクターに寄せ、ファッションもキャラクターに相応しいものを選ぶことになるのでしょう。

こうなると、ブランドコンセプトも変わってきます。まず、キャラクター設計が必要になるでしょう。そして簡単なアニメを作ってみる。こうなると、メタバースで仮想コレクションを開いてもいいし、そのキャラクターのコスプレができるようなリアルなアイテムを販売するということになります。

この記事の著者・坂口昌章さんのメルマガ

初月無料で読む

print
いま読まれてます

  • コスプレが大きな鍵になる?次世代のアパレル企業が進むべき道とは
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け