プーチンの痛恨。ウクライナ侵攻で壊滅的に低下したロシアの影響力

 

最大の勝者中国

ウクライナ侵攻でもっとも得をしたのは中国です。

欧米日とロシアの関係が切れた。それで、中国は、ロシア市場をほぼ独占することが可能になりました。そして、中国は、ロシアが欧州に売れなくなった石油、ガス、石炭を激安で輸入することができます。

さらに、ドル圏、ユーロ圏から追放されたロシアを、「人民元圏」に取り込むことに成功しています。ロイター2022年11月30日。

モスクワの投資会社カデラス・キャピタルのマネジングディレクター、アンドレイ・アコピアン氏は、外貨を預金している銀行が制裁を受ける危険に触れ、「ドルやユーロ、ポンドなど、伝統的な通貨を預けておくことが突如として非常に危険になったということだ」と説明。「誰もがルーブル、もしくは人民元を筆頭とするその他の通貨に切り替えようと思ったし、そうせざるを得なくなった例もある」と語った。

 

事実、取引所データによると、10月の人民元/ルーブル取引高は計1,850億元と、ロシアが月末近くにウクライナに侵攻した2月の80倍超に膨らんでいる。

 

モスクワ取引所・外国為替市場部門の幹部、ドミトリー・ピスクロフ氏は、外為市場における人民元のシェアが年初の1%未満から今では40~45%に急拡大したと述べた。

SWIFTから排除されたロシアは、「中国版SWIFT」と呼ばれるCIPSを使うようになっています。というわけで、ウクライナ侵攻によって中国は、「ロシアを属国化するチャンスを手にした」といえるでしょう。

というわけで、ウクライナ侵攻1年の結果を勝ち組から並べると

  • 中国 > アメリカ > 欧州 > ロシア > ウクライナ

という感じでしょう。ただ長期的、歴史的に見ると、「ウクライナ侵攻で、ロシアの没落が加速した」となるでしょう。

1年で見ると、最大の負け組はウクライナ。しかし、長期的、歴史的に見ると最大の負け組は、ロシアになるでしょう。

(無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル2023年2月25日号より一部抜粋)

image by: Володимир Зеленський - Home | Facebook

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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