元国税調査官が解説。なぜ不動産会社の「タックスヘイブン脱税」はバレてしまったのか?

 

ロンドンの高級住宅街がタックスヘイブンのペーパーカンパニーに買い占められている訳

ただこの脱税スキームには大きな難点があります。タックスヘイブンのペーパーカンパニーまでは無税で送金することはできます。しかし、そのペーパーカンパニーからお金を引き出して日本に持ち込むときに、課税されてしまう恐れがあるのです。

タックスヘイブンのペーパーカンパニーから、普通に配当金として日本に送金すれば日本で税金が課せられてしまいます。またペーパーカンパニーから何らかの名目で送金しても、やはり日本の会社は「収入」として計上しなくてはならず、
そこには税金が発生します。

つまり、この脱税スキームでは税金を逃れようと思えば、お金をタックスヘイブンのペーパーカンパニーに置きっぱなしにしておかなければならないのです。実際、タックスヘイブンのペーパーカンパニーに、お金を置きっぱなしにしている投資家もたくさんいます。

もちろんいくら税金を逃れても置きっぱなしにされて塩漬けにされれば意味がありません。だから投資家や企業は、様々な方法を駆使して、タックスヘイブンからお金を引き出そうとします。たとえばタックスヘイブンのペーパーカンパニーに、自分が欲しいものを買わせるということもあります。たとえば、ペーパーカンパニーのお金を使って自分が欲しい別荘などを買い、その別荘を自分が使うのです。こうすればペーパーカンパニーから本国に送金せずに、ペーパーカンパニーのお金を使う事ができます実際に、ロンドンの高級住宅街の多くは、タックスヘイブンのペーパーカンパニーによって買い占められているのです。

国税もバカじゃない。現金を持ち込まなくても脱税がバレる訳

が、お金がすぐに欲しい人はそういう悠長なことはできません。そのため、冒頭の不動産会社の社長らは、わざわざ現地から現金を日本に持ち運んできたのです。

しかし、現地でお金を引き出して日本に持ち込めば、これは、完全に「脱税」になります。いくら完璧なペーパーカンパニーをつくってお金の流れを誤魔化しても、自分で資金を引き出した時点で、すでに帳簿外のお金になっていますので言い訳はできません。

しかもこれほど煩雑なスキームを使えば、バレる確率も上がります。多額の現金を日本に持ち込む場合は、入管に申告しなければなりませんが、もちろん脱税金を持ち込む場合は申告などできないので密輸ということになります。まずここで発覚する可能性が出てきます。

また国税もバカではないので、多額のお金がタックスヘイブンに送金されていれば、その行方を追います。タックスヘイブン国も、昨今では世界の非難を受け、ある程度脱税の摘発には協力するようになっています。だから日本の税務当局から、ペーパーカンパニーのお金を出し入れを確認させろという要望があれば、それには答えざるを得ません。ペーパーカンパニーに多額の送金がされ、しかもそのお金が引き出されてどこに行ったのかわからない、となると、当然、脱税の疑いが濃いということになり、査察の強制調査などが行なわれ脱税での告発ということになるわけです。

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