実はこの試用期間の延長については私もよくご相談をいただきます。
延長自体に反対するわけではもちろんありませんが、適性等の何らかの問題があって延長をするわけなので、延長後に本採用へスムーズにいかないケースも想定されます。
そうなると延長期間の対応は相当慎重に行う必要があるでしょう。
実務的にはポイントは以下の3点です。
まず、「試用期間を延長する可能性がある」と規定を作ることです。
今回の裁判では「規定が無くても同意があればOK」とされましたが、必ず同意がとれるとは限りません。
事前に就業規則や雇用契約書に入れられるのであれば間違い無く入れておいたほうが良いでしょう。
次が、試用期間に行うべきことの確認です。
試用期間中にすべきことは職務能力や適格性の見極めと、もしそれを満たさなかった場合の改善を促す働きかけや育成です。
もちろんみなさんの会社でもほとんどの会社でそれらを行っているとは思いまが、
どこまで「確実に」「具体的に」行っているでしょうか。
また、万が一の際には、客観的にそれらを証明できる面談記録などを残しておくことも重要です。
最後が、「それでも、(試用期間の社員が)いけてなかった…」場合の対応です。
その場合に退職勧奨することを全否定ではありませんが、当然ながらリスクはあります。
会社によっては試用期間を延長するどころか、試用期間中に退職勧奨に切り替えているような会社もあったりしますが、相当リスクは高いと言わざるを得ません。
確かに、試用期間の主旨は「見極める」期間ではあります。
ただ、そうなると「いけてない=退職勧奨(解雇)」と成りがちです。
ちょっと見方を変えて「見極めと育成」の期間と捉えてみてはいかがでしょうか。
#試用期間は慎重に
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