頼りにならない国ニッポンの岸田首相「ウクライナ電撃訪問」が意味するもの

 

この訪問は日本にとっても大きなプラス

今回の訪問について日本では、「G7首脳の中で、ウクライナを訪問していないのは岸田さんだけ。そのままサミットに出るのは恥ずかしいから、無理していった」というような話をよく聞きます。

もちろん、そういう要素は大きかったでしょう。それはともかく、岸田さんのキーウ訪問は、日本にも大きなプラスです。なぜでしょうか?

岸田さんはいいました。

「ロシアによるウクライナ侵略は 国際秩序の根幹を揺るがす暴挙だ。キーウとブチャを訪問し、惨劇を直接目の当たりにしてこのことを改めて強く感じている」

「今後も日本ならではの形で切れ目なくウクライナを支えていく。ウクライナの美しい大地に平和がもどるまで日本はウクライナとともに歩んでいく」

日本は、「反ロシア」「親ウクライナ」の立場を明確にしたのです。これは、とても重要なことです。なぜでしょうか?

ウクライナ戦争は、二つの視点から見る必要があります。「善悪論」と「勝敗論」です。

「善悪論」で、日本には、「ロシアは悪くない」と主張する人が一定数います。しかし、以前にも書きましたが、「善悪論」には明確な基準があります。そう、国際法。国際法によると、合法的な戦争は、「自衛戦争」「国連安保理が承認した戦争」の二つだけ。

ウクライナはロシアを先制攻撃していないので、これは「自衛戦争」ではありません。当然、国連安保理も承認していない。

だから、ウクライナ戦争が、「国際法違反の戦争」であることは、議論の余地すらないほど明白です。だから、国連加盟国140か国以上が、ロシアのウクライナ侵攻を非難しているのです。

ウクライナ侵攻を支持している国は、ロシア、ベラルーシ、北朝鮮、シリア、エリトリアだけです。

次に「勝敗論」ではどうでしょうか?現在のロシアの状況を、戦前戦中の日本と重ねて語る人がいます。「かつて日本を追い込んだグローバリストが、今度は、ロシアを追い込んだ」と。

今のロシアと、戦前戦中の日本を同じに扱ってほしくはありませんが。それでも、「そうである」と仮定してお話しましょう。聞きたいのは、「で、その戦争、どっちが勝ったのですか?」です。

そう、負けたのは日本です。

同じロジックであるなら、今回負けるのはロシアでしょう。そうであるなら、なぜ日本が負ける側につく必要があるのでしょうか?

実際、現在の中国ロシアは、戦前戦中のナチスドイツ、ファシズムイタリアと同じです。ナチスドイツはユダヤ人を虐殺し、中国共産党はウイグル人を虐殺している。

日本はかつて、ナチスドイツ、ファシズムイタリアと軍事同盟を組んで、必然的に敗北しました。今回は、「勝つ方」について戦勝国になりましょう。

ウクライナ戦争について、岸田さんは、最初からウクライナ側についていました。そして、習近平がロシアを訪問している最中に岸田さんはウクライナを訪問し、日本国の立場を鮮明にしたのです。

日本は、ウクライナの側に立つ。これは、善悪論で善の側であり、なおかつ、勝敗論で勝利の側。要するに、完全に正しく、日本国の国益に沿った立場なのです。

増税はやめて欲しいですが、今回の訪問については、「岸田総理、ありがとうございます!」と感謝したいです。

(無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』2023年3月22日号より一部抜粋)

image by:首相官邸

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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