保身のために「いじめ第三者委」を設置の異常。南国市と海南市の呆れた惨状

 

殺人未遂いじめを6年放置した和歌山県海南市の言い分

一方、海南市でおきた生命の危機もあったとされるあまりに酷いいじめ事件発生から6年放置し、重大事態いじめとしての申立から4年あまりも放置した和歌山県海南市(海南市教育委員会)ではNHK報道など地元に震撼が走った後、第三者委員会の設置を決めた。

【関連】教員らの暴走、校長の嘘。いじめ被害者を迫害する小学校「異常対応」の証拠写真
【関連】用水路に落とされ死んだかもしれない。和歌山県海南市立小学校で起きた重大事態いじめ全貌
【関連】“殺人未遂いじめ”を6年間も放置。NHK報道を受けた和歌山県海南市の信じ難い公式コメント
【関連】もはや無法地帯。殺人未遂いじめ放置事件の和歌山県海南市が見せた“異次元”対応

そもそも海南市では2013年にできたいじめ防止対策推進法要請されていたいじめ条例などがなく、この機に市議会で作ったわけだが、その内容は極めてお粗末で、議事の中で「文科省のガイドラインに沿った」という文言を削除したし、被害側の陳情を薄ら笑いを浮かべて否決したわけだ。この自治体で被害者になったらと考えたら、早々に引っ越しした方が良いかもしれない。

もともと、海南市教育委員会は、重大事態いじめの要件を完全に満たす状態で、平成31年の段階で重大事態いじめとの認識を示す教育長、校長の連名で公印が押された文書があるなど、明らかに放置ということを報じたNHKをはじめ大手メディアの報道に対して、市のホームページを使い、全くデタラメだと批判をしておきながら、騒ぎが大きくなったから、第三者委員会を設置するとコメントしたのだ。

ところが、いじめに関し第三者委員会の設置には、いじめ防止対策推進法第28条などの根拠法があり、設置の根拠として、報じられたからという理由は断じて認められないのだ。

それでも、騒ぎが大きくなって市民からも心配の声が届くから、第三者委員会の設置をするために市議会で予算を通し、これを設置したというならば、根拠法がなく、市民から心配の声ではなく、ふざけるなというクレームが相次いだから、保身のために血税を使うということになろう。ともすれば、市議会はお飾りに過ぎないということになろう。

「国は国、ここは海南市やで」いじめ被害者が浴びせられた暴言

海南市の市議会に意見をいうために被害者は陳情に立ったわけだが、そこで、こういう会話を聞いたそうだ。

「国は国、ここは海南市やで」

もはや、独立宣言ではないか…。

少なからず、上記の2つの教育委員会は、いじめ防止対策推進法を守ろうとは思っていない、「不確かな情報があるから」(南国市)「騒ぎになったから」(海南市)というように、到底、第三者委員会の設置の要件にも根拠にもならない理由を公言し、その設置を決めているのである。これが公務員であるから始末に負えないともいえるだろう。

まさに違法状態であり、ある種、監視機能があるはずの議会が全く機能しない。例えば、第三者委員会を設置しましたという高知県南国市は、再設置をするすると言って、およそ3年間、何も進んでいない状態なのだ。市議会には遺族側がいろいろ言ってきているからと言い、遺族側には、職能団体が応じてくれないと説明するのだが、市議会は追及すらしない。

つまり、議会が機能していないのだ。それでも、法律というのはよくできていて、そういう場合は、首長に当たる市長が腕を振るう場面になる。ここがダメなら、ここというように、いわゆるセーフティネットがあるのだ。

しかし、民主主義のはずが、その機関の中に王国が形成されてしまったようなところでは、首長すら自らの権限を理解していないのか、セーフティネットとしての機能が発揮されないのである。

きっと似たような自治体は他にもある事だろう。

この記事の著者・阿部泰尚さんのメルマガ

初月無料で読む

print
いま読まれてます

  • 保身のために「いじめ第三者委」を設置の異常。南国市と海南市の呆れた惨状
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け