中国軍の関与は本当に無いのか?自衛隊ヘリ墜落の謎と「日中軍事衝突」の可能性

2023.04.17
Chiba,,Japan,-,June,06,,2010:japan,Ground,Self-defense,Force,Sikorsky
 

4月6日に沖縄県の宮古島周辺で発生した、陸上自衛隊のヘリコプターが行方不明となった事故。懸命の捜索作業が続く中、13日夜に機体と見られるものと隊員らしき姿が確認されたとの報道がありましたが、事故の詳細は未だ明らかになっていません。この件について我々がどう受け止めるべきなのかを考察しているのは、外務省や国連機関とも繋がりを持ち、国際政治を熟知するアッズーリ氏。アッズーリ氏は今回、米中対立の激化が自衛隊機墜落のドミノ現象化を招く原因を解説するとともに、「日本国民は事件としての自衛隊機墜落」をより現実的に考えるべきとの警告を記しています。

自衛隊ヘリ墜落は事故か事件か?高まる「日中軍事衝突」

台湾や尖閣諸島で緊張が続くなか、4月6日、九州熊本の基地から飛び立った陸上自衛隊のヘリコプターが宮古島周辺で突然消息を絶ち、乗っていた陸将など自衛官10人の行方が分からなくなっている。周辺の海域からは機材などが発見され、防衛省は事故との見方を示している。

だが、事故と断定されたわけではない。ヘリコプターが宮古島周辺海上を飛んでいた当時、天気は曇りだったが全く雨も降らず風も吹かず落ち着いており、自衛隊が最近実施した点検でも異常は見つからなかったという。この摩訶不思議について、インターネット上では、中国人民解放軍が遠方からヘリコプターを無力化できるサイバー攻撃を仕掛け、突然ヘリコプターが機能停止に陥り墜落した、また、自衛隊の中に中国当局と繋がるスパイが潜伏し、そのスパイが墜落させたなど様々な憶測が飛び回っている。

同日、中国の軍艦が墜落直前に沖縄本島と宮古島の間を通過していたことから、同軍艦が何らかの関与をしているのではないかとの懸念も聞かれた。これについて、7日の衆院安全保障委員会で浜田防衛大臣はそういった情報は入っていないと関連性を否定した。

「事故」だけで片付けてはいけない陸自ヘリ墜落

一方、ここで重要なのはこれがたとえ事故だったとしても、我々はそれだけで片付けてはならず、こういった自衛隊機の墜落が事件として起こるリスクが高まっていると認識することだろう。2010年の尖閣諸島における中国漁船と海上保安庁の船舶の衝突事件のように、日中の間では実際に衝突が起こっている。しかし、2010年当時の中国の軍事力と今日の軍事力は全くの別物であり、仮に今後何らかの衝突が起これば、中国は10年前以上により強硬な対応を取ることになるだろう。

それは数字からも想像できる。たとえばストックホルム国際平和研究所の分析によれば、2021年の米国の国防費は8,010億ドルで世界全体の38%あまりを占める一方、中国の国防費は2,930億ドルと世界全体の14%を占めるに至っている。しかし、2021年の中国の国内総生産は既に米国の70%にまで達しており、今後も中国が欧米よりは高い経済成長を維持することを踏まえると、中国が経済力と軍事力で米国を追い越すのは時間の問題だろう。

2033年あたりには米中の力の逆転が起こるとの見方もある。しかも、米国は今日対ロシアに時間や労力を割く必要性に迫られており、対中に全神経を集中できる状況にはない。中国は東シナ海や南シナ海、台湾などに全ての労力を割くことも習氏の意思次第で可能であり、沖縄や台湾周辺での米中逆転は時間の問題だろう。

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