ナリヌワイ氏を毒殺へ。「敗戦後」の準備を始めたロシア
そして、ワグナー軍トップのプリゴジンも14日、「プーチン政権は軍事作戦の終了を宣言すべき時だ」とする声明を発表した。同氏はまた、ロ軍は「東部ドネツク州全域の制圧」とする主目標を達成できそうもない上、ウ軍の反攻で敗北する可能性があるとも警告した。
ワグナー軍の要員も大幅な減少になり、ワグナー軍も戦えないことによるようである。それと、ロ軍第22特殊任務旅団(スペツナズ)と他の2つのスペツナズ旅団が、ウクライナで推定90~95%消耗したことも大きいようである。
しかし、一時的な敗北によってロシア国民の奮起を促し、総動員令を出して、最終勝利まで戦い続けることができると主張している。
このような状況になり、ロシアで収監中の反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏の広報担当者は13日、同氏が激しい胃痛を訴えていると明らかにし、ゆっくりと毒を盛られている可能性があるとした。
クレムリンとしては、ウクライナ戦争に負けると、民主化になり、その時の指導者がナワリヌイ氏になるとみて、民主化を潰す意味でもナワリヌイ氏をゆっくり殺そうとしている。
その上、ロシア国内がバラバラになってきた。イーゴリ・ギルキン氏は、主戦派で「怒れる愛国者クラブ」を結成し、ロ軍の批判を流し、信用を失墜させてきた。クレムリンはギルキンを検挙したいが、政権内のシロビキから支持されている。
同じくロ軍批判をするプリゴジンは、「公正ロシア」党の党首ミロノフ氏と組んで大統領選挙に出るので、ギルキン氏とは組まない。しかし、戦場の状況は一番押さえている。プリゴジンとしては、戦争を続けるとウ軍に負けることが見えているから、停戦か戦うにしても総動員を呼びかけている。クレムリンの権力者たちは、ロシアの利益を裏切っているという。
その見方では、FSBの官僚たち、特にパートリシェフ安保会議書記やゲラーシモフ参謀総長でも、財政面で戦争が続けられないと考える反戦派が出てきた。このため、プーチンもショイグ国防相も戦争継続するだけになってきた。この頃のロ軍が攻撃から防御にシフトした理由ともいわれる。
それと、ロシア国家親衛隊の一部がウクライナ前線に出されて、大きな損害を被り、反発する勢力もいる。ロ軍とは別の組織が多数前線に展開していて、指揮命令系統もバラバラであり、真面に戦えないということも大きい。
ロシアは、近代国家の体をなしていない。国が暴力の独占をしていないで、私兵軍がいる。国の中でも武装軍が多数の部局にいることで、命令系統がバラバラであり、作戦指揮が複雑で迅速な作戦が実行できない。
しかし、ロシアの政治体制では、FSBが中心であり、プーチンを交代させることもできる。戦争が負け始めると、このロシア内での権力闘争が激しくなり、クーデターなどの可能性も出てくることになる。
このようなロシア国内の分裂を抑えるために、プーチンは、毎年6月に行われる国民対話を、2023年6月上旬に行うようであり、2024年選挙時までは、第2次部分動員も総動員も行わないのであろう。
このようなロシアに対して、ノルウェーは、オスロのロシア大使館の約40人のロシア人外交官中15名を追放するので、約3分の1強を追放することになる。
米国は、国連に参加するロシアの国連代表団のビザを発給しなかった。今月、ロシアは、安全保障理事会の議長国であり、人員を増強したいが、できなかった。
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