台湾侵攻を欧州は黙認か。中国に訪れた千載一遇の好機
中国は、欧米日が半導体製造装置を中国に売らないという協定を見て、このまま時間が経過すると、中露は負けることになると見た可能性が高い。
今回の戦争を見ると、ロ軍の物量対ウ軍の欧米製精密兵器の戦いであることがわかる。この精密兵器で物量のロ軍が多大な損害を出しているし、戦争全体としても、戦前の予想とは大きく違うことになっている。
この原因は、精密兵器に必要な半導体がロシアにはないことであり、中国も半導体自体は製造しているが、高密度な半導体を作れていない。このため、時間がたつと、欧米日は益々高密度化の半導体ができるが、中国ではできないことになる。
将来、台湾戦争になっても勝つことができないことは自明である。
このため、なるべく、時間をおかずに台湾侵攻した方が良いことになる。
その上、マクロン仏大統領は、米国の指示には従わないし、台湾侵略戦争が起きても、欧州は関係しないと、習近平主席に述べてしまった。このマクロンの言葉を聞いて、中国の戦略家は大きなチャンスが来たと述べている。
これで、台湾侵攻しても、欧州は手出ししないことになる。
しかし、その後訪中したドイツのベアボック外相は、「(台湾に関する)一方的で暴力的な現状変更は欧州として受け入れられない」「なぜ中国は侵略者の露に対して戦争をやめるように求めないのか」と述べた。これに対して、秦剛外相は、ウクライナ情勢を巡り「和平に向けて努力を続けたい」と表明し、対話を通じて解決すべきだと強調した。
しかし、台湾戦争時、ドイツ経済にも中国は重要な市場であるので、そう簡単に市場を放棄しないとみている。
もう1つが、欧米日企業の工場の撤退が起きている。このままにすると、いづれ、経済的分断も起きて、中国経済は回らなくなる。
それと、恒大集団倒産直前で不動産バブル崩壊で、今後経済的な面でも国民に豊かな生活を保障できない。そのため、共産党への支持率も落ちてくることになる。
それなら、いっそのこと、台湾軍事侵攻をして、台湾にある半導体工場と従業員を取ってしまい、中国の半導体としてしまえばよいとなる。
ということで、欧米対抗の戦略の方が良いということになるので、中国の態度が変化したようである。
台湾の蔡総統の米国訪問などを理由に、台湾包囲演習をして、いつでも侵略できることが台湾国民に分かったはずである。
このため、2024年総統選挙は、戦争か統一かの争点になる。
もし、平和な統一を掲げる国民党が負ければ、戦争を行うことになる。
その時までは、ロ軍もウ軍に負けないで、ロシアが民主化しないことが重要である。しかし、ウ軍の大攻勢でロ軍が負ける可能性が出てきた。ロシアは、逆にそのためには、中国から援助が必要であると述べているはず。
このため、今年初めに中国の中央軍事委員会がロシアに武器の「段階的な提供を承認」し、武器を民生品に偽装して引き渡そうしていたようである。しかし、中国の秦剛国務委員兼外相は、「紛争当事者に武器を提供することはない」と明言した。
このため、中国の李尚福国防相が4月16~18日にモスクワを訪問するが、ロシアへ中国の軍事支援をどのように行うのかが大きな議題であろうとみる。その見返りは、ロシア太平洋艦隊の台湾侵攻時の中国側面支援である。このため、北方四島でのミサイル配備などを行っているなど、ロシアは、太平洋勢力として活動できる対等な軍事パートナーであることを中国に強調する意図であるようだ。
今後、徐々に中国からロシアに武器援助が行われる可能性が高い。または、ロ軍が負け始めた時点で、中国がロシアとウクライナに停戦案を示すことになる。ロ軍が負けないようにロシアの体制を維持するためである。
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