突如現れたプーチン。なぜ独裁者は深夜にクレムリンを訪れたのか

 

深夜に突如クレムリンに現れたプーチン

プーチンが26日、深夜に突如、クレムリンに来たという。この行動が話題になっているが、南部ヘルソン州ドニプロ川東岸にウ軍が拠点を作ったということで、早朝会議の前に状況の報告を受けるためにクレムリンに入ったとみる。

状況報告は、ロ軍からFSBに入り、パトリシェフ安保書記に入り、プーチンに報告されることになり、その報告を聞いてからロ軍幹部を含めた戦略会議で、今後の作戦をどうするのかを決定するはずである。

ウ軍のドニプロ川東岸の攻撃をどう見るかであろう。この攻撃を陽動とみるか、本格的攻勢とみるかで違うことになる。

現時点では、メルトポリにロ軍を集結させていて、ザポリージャ州に攻めてくるとみている。このロ軍をヘルソン州に向かわせる可能性もある。

ロ軍は冬攻勢で、手元に兵力があればすべて投入で攻勢し、予備兵力が乏しくなると攻勢を停めるという単純な攻撃の繰り返しをしてきた。

このような状態でウ軍の反攻を迎えることになった。プーチンには、プリゴジンも早くから、バフムトに固守せずに、ワグナー軍をウ軍反転攻勢ために残しておくべきと忠告していたが、プーチンは聞く耳を持たなかった。

しかし、準備として、クリミア半島の北部ジャンコイ基地から多数の装甲車すべてを移動させ、空の状態にしたようだ。この装甲車両が何処に行ったのかは不明であるが、南部ヘルソン州やザポリージャ州に配備されたようである。

そして、ザポリージャ州のロシア占領地区に構築された、ロ軍の三重防御ラインでは、一番手前に対戦車壕(戦車が乗り越えられない)があり、真中に「龍の歯」でコンクリート製障害物が来て、最後に歩兵が入る塹壕というような防衛線である。これを航空機とドローン、砲兵、戦車などが後方から支援する。ここをウ軍は突破する必要がある。

もう1つが、ウクライナ国民であった占領地の住民対策として、プーチンは28日、ロシア支配地域の住民にロシア市民権取得の道を開く法令に署名した。しかし来年7月1日までにロシア市民権取得を拒否もしくは取得に向けた行動を取らなければ、国外退去処分となる。また、ロシア国籍を取得した人がロ軍の信用をおとしめる行為などをした場合、国籍を剥奪できる改正法案にも署名した。

ヘルソンとザポリージャ州の住民が対象であり、ロシアは同化政策に出てきた。泥縄政策のような気がする。

逆に、ザポリージャ州とヘルソン州のロシアに協力的な住民を避難させ始めた。

もう1つ、反逆罪に対する刑罰に最高で終身刑を導入し、国際刑事裁判所(ICC)など、ロシアが非加盟の国際機関の執行などに協力した場合、禁錮刑や罰金を科す刑法の改正案に署名した。

外交では、インドのシン国防相とロシアのショイグ国防相が会談し、防衛パートナーシップを強化することで合意した。具体的な内容は不明である。

ロシア経済から見ると、今年のガス輸出がブレジネフ政権以来の低水準に落ち込むと予測され、ガスプロムが海外で販売できる量は、1980年よりも少ない500億立方メートルにとどまるようだ。政府の石油生産量は国家秘密であるという。それで少ないことがわかる。戦争継続の国家予算が続くのかが問題になっている。

ロシアは、ウクライナ産穀物輸出を止める方向でいることで、ウクライナ産穀物が東欧に流入して、東欧諸国が自国内への流入を防ごうと、東欧諸国が輸入禁止などの措置を取っていた。この問題で、欧州委員会は28日、ポーランドなど東欧5カ国と解決策に基本合意した。欧州委によると、東欧諸国は「一方的な措置」を取り下げるといい、ウクライナ産穀物などの輸出ルートが確保されるという。

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