日本有数の名旅館『加賀屋』の女将が考える人材育成の必須10項目

Traditional Japanese house ryokan closeup with tatami mat floor, shoji sliding paper doors and woman in kimono and geta shoes tabi socks walking in corridor hall room
 

四つ目は、時には外部の研修や講演会などに出してあげて、気分転換させる。

五つ目は、不器用な人、要領よくできない人ほど、より可愛がって大事にしてあげる。できる人は放っておいても努力しますからね。

六つ目は、自己啓発の機会を体験させてあげる。加賀屋ではお茶や生け花などの作法や知識を学ぶ社内アカデミーを設けています。

七つ目は、ひと言多い子や段取り優先な子を注意する。たいていのクレームの原因が、ひと言多いか段取り優先のタイプなんですよ。

言わなくてもいいことを余計に言ったり、お客様のペースを無視して自分の段取りどおりに進めようとして怒られる。「お客様はみんな違うんだから、一人ひとりに合わせればいいのよ」と話しています。

八つ目は、知識を教える。

お料理のことや地域の歴史、美術工芸品など、客室係はいろんなことをお客様に聞かれますから、そういうことを一所懸命教えるんです。

九つ目は、相性が合わない場合には配置換えをする。何回言ってもどうしても喧嘩をする社員同士は、配置換えをして、お互いに気持ちよく仕事ができるようにしています。

最後は、責任は女将である私にあるということ。

「最終的な責任は私が背負うから、自分が正しいと判断するとおりにやっていいよ」と言うんですが、そういう雰囲気をつくり、社員たちの創意工夫を後押しできるようにしています。

私の役割は舞台をつくることで、そこで美しく舞うのは社員たちです。社員たちがイキイキと楽しみながら働けるような環境を整えることが、私の仕事だと思っています。

(月刊『致知』2017年4月号より)

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【著者】 致知出版社 【発行周期】 日刊

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