米から日本への脅迫状「年次改革要望書」を丸呑みする自公政権の“売国度”

 

「タコ部屋・奴隷労働制」復活への先祖返りにすぎない労働法制の改悪

こうした米国の要求に従った結果、日本では格差社会が広がり、貧困や苦境に陥る人が激増してきました。

「労働者派遣法」で、「中間搾取」「有期雇用」「間接雇用」を解禁したことで、同一会社の中に「正社員」と「非正規社員」という身分差別を許し、賃金を効率よく徹底的に値切るシステムを導入したことが、格差社会拡大の主な要因となっています。

できるだけ正社員を雇わずに、日本中に非正規雇用(派遣社員・契約社員・パート・アルバイトなど)の不安定労働者をあふれさせる方向だったのです。

今や労働者の4割が非正規雇用になり、低所得のために将来の年金収入が乏しい「貧困老後社会」を確定させています。

戦前横行した「タコ部屋・奴隷労働制」復活への先祖返りにすぎない労働法制の改悪でした。

350兆円の国民資産を米国企業に差し出す。「郵政民営化」の真実

そして、郵政民営化では、株式会社化によってノルマ至上主義をはびこらせ、郵便局員による保険の違法販売や年賀状の自爆営業を常態化させました。

民営化でサービスが向上するなどとアピールして国民を騙したものの、翌日配達や土曜日配達もなくしているのが現状です。

これは、350兆円もの郵政に集まる資金(簡保や貯金)を米国に差し出すために、「民間に出来ることは民間に!」などとスローガンを叫んだ小泉純一郎首相が、民営化という手法で米国の要求に隷従しただけの話でした。

日本郵政が預かっていた国民資産350兆円の米国企業への献上だったのです。おかげで米国の株価は右肩上がりとなりました。

実際、当の米国郵政は、郵便事業だけなので、民営化などとは無縁のままで、現在も国営なのです。

なお、旧安倍政権下では、2014年10月アベノミクスのアピールのために、国内株価上昇とともに米国の株価上昇に寄与するべく、当時の公的年金積立金約140兆円(運用はGPIF=年金積立金管理運用独立行政法人)のうち、25%だった株式運用比率を50%にまで引き上げました。

その後、株価下落で翌年以降10兆円もの損失を出して国会を紛糾させたものの、皮肉なことに円安のおかげで、現在では年金積立金は日本円換算で200兆円規模まで戻しています。

過度な円の下落が寄与するという不幸中の幸いで、年金積立金が増えた──という構図ですが、旧安倍政権も哀しいまでに「米国すり寄り政権」だったのです。

ほぼ達成されつつある安倍元首相の悲願

こうした米国の「年次改革要望書」による脅迫的な要求での制度改変で、メリットを享受してきたのは、ひと握りのエグゼクティブな富裕層だけでした。

ゴールドマンサックスをはじめとする米国の金融資本や多国籍企業のグローバルビジネスが展開しやすくなっただけなのです。日本は米国の属国というより、植民地なのかもしれません。

先月当メルマガでお届けした「遺伝子組み換え食品」の表示改変も米国の要求でした。

「遺伝子組み換えでない」という表記がほとんどなくなり、今では食品表記が訳の分からないものになりました。

また、その昔の1995年に「製造年月日」表示が「賞味期限」と「消費期限」に代わったのも米国の要求でした。

世界中でグリホサート系除草剤の有毒性が問題になり、規制がすすむ中、日本だけが農産物の残留基準を緩めたのも、米国の要求でした(小麦は6倍、トウモロコシは5倍に緩和)。

EUでは輸入禁止の成長ホルモン使用の家畜の輸入も、日本だけは米国に大きく門戸を広げています。

【関連】「遺伝子組み換え」の文字を消したがる米国。日本の食品表示が“変更”された深い闇

これらのすべては、敗戦後の米軍駐留にはじまる日本への占領政策が、今なお続いていることの証左にすぎません。

沖縄をはじめ、日本全土に米軍基地を配備しているうえに、敵基地攻撃能力の保有までを宣言したのでは、周辺国に先制攻撃をする国と危惧される──極めて憂慮すべき状況なのです。

不思議なことに、憲法改変などしなくても、もはや「(戦前の)日本を取り戻す」と勇ましく叫んでいた安倍元首相の悲願が、ほぼ達成されてきたのではないでしょうか。

台湾有事の際には、米中の正面衝突を避けるためにウクライナのように、日本が戦場となる覚悟も必要となっています。

何ゆえにここまで自公連立政権は、米国に隷従するのでしょうか。

自公連立政権のままでは、ますます米国の言いなりで、日本の衰退が加速していくだけでしょう。

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