“ケネディ一族の呪い”は解けるか?米大統領予備選に出馬するJFK甥の「公約」

 

帝国の解体のプロセスに着手しようとしているケネディJr

ケネディJrのキャンペーン・サイト(★1)には「和解/分裂を癒そう」と題して6つの政策重点が並び、その5番目が「平和/本国に戻そう(Bring It Home)」とある。これは上述ボストン演説の該当部分の要約のようである。

★1 KENNEDY 2024

《資料1》平和/本国に戻そう

長い目で見ると、一国の強さはその軍隊によってもたらされるものではない。米国は〔軍事支出ランキングの第1位で〕第2位以下第10位までの国々の合計と同じだけの金額を兵器に費やしているが、最近の30年間を通じてこの国はますます強くなるのではなく弱くなっている。軍事技術では最も優勢を保ってきたとはいえ、米国は内側から空洞化しつつある。我が国のインフラ、産業、社会、そして経済が虚弱になっては、強くなることも国民の安全を確保することもできはしない。

 

ケネディJrの政権の最優先課題は、米国を再び強くすることに置かれるだろう。身体が病んでいるなら、その肝心な臓器に栄養を与えるためには四肢に分散しているエネルギーを引き揚げることになる。今こそ、帝国的な企図を終わりにしてその全てをこれまで無視され続けてきたことの手当てに回すべき時だ。崩壊した街、時代遅れの鉄道、破綻した水道システム、荒廃したインフラ、不振が続く経済などである。年間の軍事関連の支出は1兆ドル近くにも及ぶ。わが国は世界中に800もの軍事基地を維持している。ベルリンの壁が崩壊した後にもたらされるはずだった平和の配当は何も償還されなかった。しかし今は我々は別のチャンスを掴みつつある。

 

それは、ケネディJr大統領が帝国の解体のプロセスに着手しようとしていることである。我々は部隊を本国に戻そうとしている。我々は次から次へと戦争を行なって、返せる当てもない借金を積み重ねるのを止めようとしている。軍は、我が国土を防衛するという本来の仕事に戻るだろう。我々は、代理戦争、爆撃計画、秘密作戦、クーデター、準軍事組織〔などの軍事遂行手段〕を終わらせるだろう。さらにそれ以外にも、多くの人々がそんなことが起きていることすら知らされないけれども実際に起きていて、我々の力を消耗させている様々についても、終わらせることにする。

 

米国は、海外で帝国として振る舞うことと、国内で民主主義を維持することとを両立させることはできない。

 

ウクライナにおいて最も優先されるべきことは、ウクライナの人々が被っている苦難を終わらせることである。彼らは、ロシアの野蛮な侵略の犠牲者であり、そしてまた少なくとも2014年まで遡る米国の地政学的陰謀の犠牲者でもある。我々はまずはっきりさせなければならない。我々の使命は自分らの主権を防衛している勇敢なウクライナ人を助けることにあるのか?それともロシアを弱体化させるための駒としてウクライナを利用するのか?ケネディJrは前者を選択する。彼は、ウクライナに平和をもたらし、また米国の〔人的・物的〕資源を元の帰属場所に戻すことができるような外交的解決を見出すだろう。我々は、我が部隊と核搭載可能なミサイルとをロシアとの国境から撤退させることを申し出るだろう。〔そうすれば〕ロシアはウクライナから軍を撤退させ、同国の自由と独立を保障するだろう。国連の平和維持軍がロシア語を話す〔住民が多数の〕ウクライナ東部の平和を保障するだろう。〔そのようにして〕我々はこの戦争を終わらせ、ウクライナの人々の苦難を終わらせるだろう。それが、すべての国々を非軍事化させるためのより広範な計画の出発点となろう。

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