“ケネディ一族の呪い”は解けるか?米大統領予備選に出馬するJFK甥の「公約」

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「華麗なる」とも「呪われた」とも称されるケネディ一族。ジョン・F・ケネディの暗殺は現在でもアメリカの国家的悲劇として語り継がれていますが、彼の甥にあたる弁護士、ロバート・ケネディJrの共和党大統領予備選挙への出馬が話題となっています。そんなケネディJrの主張を取り上げているのは、ジャーナリストの高野孟さん。高野さんはメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』で今回、ケネディJrの「海外米軍基地の閉鎖と部隊の帰国」との公約を紹介するとともに、全世界の平和愛好勢力に対して彼への支持を呼びかけています。

※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2023年5月15日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

ジョン・F・ケネディの甥。ケネディJrの大統領就任で実現する全米軍基地の撤収

ロバート・ケネディJrは4月19日にボストンで開かれた集会で、民主党の大統領候補を決める予備選への出馬を宣言し、その中で「大統領になったら、800もある海外米軍基地を閉鎖して部隊を帰国させ、帝国解体の作業を始める」と公約した。

ケネディJrは、1968年6月に民主党の大統領候補予備選の最中にアラブ人テロリストによって射殺されたロバート・ケネディ元司法長官の息子であり、従って1963年11月にテキサス州ダラスで狙撃され死亡したジョン・F・ケネディ元大統領の甥である。名門と言えばこれ以上の名門はないとはいえ、血塗れの悲劇の歴史を持つこの一族から、三度目の正直とばかり決起した彼は、環境問題や「反ワクチン」で積極的に行動する弁護士で、名門ブランドとは裏腹の左派的な言動が米有権者にどう受け止められるのかは全くの未知数。今は米メディアでもほとんど泡沫扱いだが、前回の民主党予備選の初戦となったアイオワ州党員集会ではバイデン現大統領は第4位、次のニューハンプシャー州では第5位で、その両方で首位争いを演じた社会主義者のバーニー・サンダースに大きく遅れをとっていたことを思えば、これから1年以上も続く予備選の過程で何がどうなるかは分かったものではない。

そこで本誌としては、早々とケネディJr支持を表明し、米国の有権者のみならず日本と世界の反戦・平和愛好勢力が彼を押し上げて、海外の全米軍基地からの撤退による帝国解体、その一環としてのウクライナ戦争即時停戦という大胆な政策を実行させるべく力を結集することを呼びかけたい。

私は2006年に上梓した『滅びゆくアメリカ帝国』(にんげん出版)で、アフガンとイラクでの戦争の5年間を振り返りつつ、終章では「イラクの決着がどうであれ、我々が目撃しているのは、米国が世界史上最強の軍事・経済帝国として絶頂を極めた(かに思われた)その瞬間に、崩壊への予兆に囲まれて立ちすくむという、まさに絵に描いたような弁証法的な展開である」と述べ、エマニュエル・トッド『帝国以後』(藤原書店、2003年刊)の「米国は帝国の残骸」という言葉を引きつつその残骸を早く片付けることが世界の平安のためであることを主張したが、それはケネディJrのアジェンダと重なる。またウクライナ戦争の理解とその解決策についても、本誌が昨年のNo.1142(3月14日号)以降で連載した「ウクライナ情勢を理解するための《頭の体操》」1~6や、No.1155(5月9日号)「ウクライナ戦争に出口はあるか」、No.1156(5月23日号)「『とりあえず停戦』の模索」などで論じてきたこととケネディJrの捉え方とはほとんど瓜二つである。

以下、いくつかの文書を本誌仮訳で紹介する(訳文中の〔 〕は訳者による補足)。

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