“ケネディ一族の呪い”は解けるか?米大統領予備選に出馬するJFK甥の「公約」

 

平和を達成しようと思うなら履いてみるべき「相手の靴」

ネオコンどもがこれを和解させることは出来ないと思うし、バイデン大統領の取り巻き連中でもだめだ。なぜなら彼らは問題をこじらせた張本人であるのに、そのことをおよそ分かっていないからである。しかし伯父は常々言っていた。もし平和を達成しようと思うなら、相手の靴を履いてみて、その相手が国内でどんな圧力にさらされているのかを思い巡らせて見ることだ、と。

 

だから我々も、何年も前からプーチンが言ってきたことに耳を傾けるべきだった。わが国はロシアのゴルバチョフに対して、NATOを1インチでも東に動かすつもりはないと確約した。ところが我々は足を踏み入れた。〔つまり〕嘘をついた。我々は〔旧東欧の〕13カ国〔20年の北マケドニア加盟まで数えると14カ国?〕をNATOに引き入れ、そこに核搭載可能なミサイル・システムを配備し、これらのNATO諸国ばかりでなくウクライナとも合同軍事訓練を行ってきた。

 

NATOの目的は何なのか?このことをジョージ・ケナン〔元駐ソ大使〕もジャック・マトルック〔同上〕も問うている。米外交政策の第一人者たちは皆、言っている。「ロシアは冷戦に敗北した。我々はかつてヨーロッパにマーシャル・プランを提供したのと同じことをロシアに対してもやるべきだ。我々は勝者なのだから、彼らを立ち上がらせ、ヨーロッパ社会の中に統合させられるよう手助けしよう」と。

 

ロシアと対抗するという以外に、NATOに何の目的があるというのか?もしロシアに対して最初から敵意に満ちた口のきき方をするなら、当然彼らの反応も敵意を投げ返してくるようなものになるだろう。そしてもし我々がこれらすべての〔旧ソ連・東欧〕諸国にゆっくりと接して行ったなら、どこもNATOの一員にはならなかったかもしれない。

 

ウクライナで2014年に何が起きたのかと言えば、民主的に選ばれたウクライナ政府に対する米国の支援による実質的なクーデターである。我々はビクトリア・ヌーランド〔当時の旧東欧・ソ連担当国務次官補で現在は国務次官〕の電話の通話記録〔がロシア側から暴露されたの〕を知っているが、彼女は今もホワイトハウスに残るネオコンの1人で、その電話でクーデターの後に反ロシア的な内閣を作る人選の相談をしていた。

 

この有様を見て、もし自分の身をロシアの立場に置いてみれば、こう言うだろう。「結構じゃないか。我々の最大の敵である米国は、我々を敵視し、今や〔ウクライナ〕という一個の国の政府を奪い取って我々に敵対する政権を作り、そしてとうとう同国内のロシア系住民にとって有害な法律を通す作業に着手したわけだ」と。

 

もしメキシコが同じことをしたら――ウクライナ政府はドンバス地方で1万4,000人のロシア系住民を殺害したが、もしメキシコが同国に居住する米国人に同じことをしたら、我々は直ちに進攻するだろう。我々は相手の靴を履いてみなければいけない。

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